大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
monofarmから新しいものづくりの芽がたくさん育つことを目標に活動中。

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東京にしがわ大学から学ぶ、人と地域をつなげる東京の「庭」づくり
今回は任意団体であります「東京にしがわ大学」学長 西川 義信(以下「学長」)さんと、副学長 山田 弘美(以下「副学長」)さんに、 「monofarm編集室」大木(以下「大木」)との対談形式にてお話をお伺いすることができました。
「東京にしがわ大学(以下「にわ大」)」は、東京の「にしがわ」まさしく多摩エリアで広くご活躍されている団体さまで、大学と言えど校舎があるわけではなく、多摩30市町村を「まちがまるごとキャンパス」とし活動されています。そして、2014年5月現在の「にわ大」の生徒数は優に3,000名を超え、活気を帯びています。主な活動内容として、「学びの場(授業)」を定期的に開催されみなさんに地域の魅力を伝えています。どのように地域の魅力をみなさんに伝え、どういった「もの・こと」を共有し、共感づくりを行っているのでしょうか。
和気藹藹とした雰囲気の中インタビューはスタートしました。
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大木: よろしくお願いいたします。
学長: よろしくお願いいたします。
副学長: よろしくお願いいたします。
大木: まず、「にわ大」の地域の魅力をみなさんに伝える取り組みとしてどのような活動をされているのでしょうか?
学長: 「にわ大」の取り組みとしまして、いままでクラス形式の「授業」をおこなっていたのですが、もうひとつの「事業」の形として「編集」を取り入れ、東京のにしがわの魅力を自分たちなりに 発信してゆく取り組みを、「にしがわカルタ」という形式で行っています。楽しみながら東京の「にしがわ」のことを知ってもらいたいということと、「カルタ」はもともとポルトガル語で「手紙」という意味でして、誰かに綴る手紙のような記事を書いています。逆に私たちから「monofarm」の取り組みを取材する機会をいただけたらなと思ったりしています。
大木: 是非お願いします!まさに「東京にしがわ大学×monofarm」みたいな感じですね。
学長: そうですね!
大木: 学長ご自身として今後、「ものづくり」に少し特化し取り組まれるとお聞きしています。「ものづくり」の輪を広げながら地域の魅力を発信するコミュニティ形成をされてゆくことと思います。 monofarmプロジェクトも「ものづくり」のコミュニティを形成してゆくことで、人々の生活を豊かにしてゆくよう努めたいのですが、まず小さなコミュニティを形成してゆく難しさがあると思うのです。 現実問題として企業とする側面がどうしても足かせとなり、地域に対する事細かな対応ができないのが現実にあると思います。しかし、時代は「デジタルファブリケーション」や「1人メーカー」の潮流も含め、 「個」で行える「ものづくり」の幅や、情報発信力が飛躍的に高まっています。このような大きな流れの中で、企業としてどのように「地域のみなさまや、地域企業」に接して行けばよいのかを模索するため 「monofarmプロジェクト」が立ち上がった感じです。
学長: 「monofarm」っていいネーミングですよね。
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画面右から:学長の西川 義信(愛称:にしぼん)さん、副学長の山田 弘美さん

大木: ありがとうございます!
大木: 多摩エリアは畑もあれば森や山があったりと自然に恵まれていると思うんです。この環境を表現するため「farm」を起用しています。 そして、ものづくりの種を集めて育てるというアイデアもあったので「mono」をくっつけて、「monofarm」としました。 東京にしがわ大学の「にしがわ」はどういった経緯でつけられたんですか?
学長: はじめは、「立川」とか「昭島」とか結構限定的な話もあったんですけど、そこはいっそ東京の「にしがわ」にしようと決めました。 その背景には、自治体の壁をとっぱらった活動にするという目的があったので、広く多摩エリアをくくる「にしがわ」となりました。 一番は、自治体にしばられるイメージはもちたくはなかった所ですね。
大木: 東京でいいますと、姉妹校で「シブヤ大学」がありますが、「東京にしがわ大学」として多摩エリアで取り組まれることにどういった特徴や特色がありますか?
学長: 都心部にも近く、先ほどもおっしゃっていたように自然が近くにあって農家も多い、日本でも結構特殊なエリアではあると思うんです東京の「にしがわ」は。 新宿から電車で1時間30分ほど走れば奥多摩に着いてっていう絶好なロケーションであると思うんです。 暮らしやすくて自然も多く、でも経済圏のど真ん中に近いっていう不思議なグラデーションのある地域なので特徴はそれなりにあるのかなと。
大木: 確かに、この辺り(東京都東大和市)でも自然を感じられる地域であったり、東京23区とはまったく環境が違います。 さらに、奥多摩はまた別格ですよね。山林地帯であり河川の上流でもあり、温泉施設もあったりして観光地さながらですよね。
学長: 私はここ数カ月間は檜原村に通っていて、実際に林業に携わっているかたの気持ちが知りたくて逢いに行ってました。農業は今では地場の農作物のトレーサビリティーが発達していて生産者の想いや顔が見えたりしていますが、木の仕事に携わるかたがたの想いや顔は見えていないんです。ましてや、「にしがわ」は山を無視できないエリアにも関わらずです。そこにはひとえに林業といえど、いろんな種類の仕事に分かれていたり、自分の山ではなく入札の中で仕事を得て、本当は森を育てたいのだけれども、木を切るだけの仕事であったりとか想いとやってることにギャップを感じていたりする現状があるようです。林業は完成や終わりのないもので先人がどういう想いで仕事をし今の森の姿になっているのかを推測しながら、次の世代の森を形成し木を切り育てているといった貴重な話をお聞きしました。 そういった生産者の話を聞いて「なにかできないかな~」と最近感じています。
大木: 私もこの「monofarmウェブマガジン」を通じ、いろいろな方と接しお話を伺ってきたなかで、杉・檜ですと主伐材として使用できるまでに約80年以上かかるとお聞きしています。そうなってくるとやはり、森は代々受け継いでゆくものでありますし、完成のない仕事であるのだなと感じます。それでも、現状は輸入材が価格的に有利であるがために日本の林業が衰退し、少子高齢化の後継者問題もあるなかで、山に手入れが行き届かず多摩産材の魅力を落としている原因もあるようです。そのなかで、多摩産材を積極的に公共施設への利用を推進する取り組みも行われているようです。そこには、木造における耐火基準をクリアするために最先端技術が使用されていたりします。それは、昔ながらの技術を継承するために最先端技術が役立っている好例です。取材を通じてよくお聞きする言葉が、「温故知新」でもあったりします。先人の知恵や知識を知ることで、新しいことを考え活かすことができるとみなさんおっしゃいます。私たちも「monofarmプロジェクト」を通じ、これからの「ものづくり」に通ずるさまざまなイロやカタチの「ものづくりの種」を育ててゆければと感じています。
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画面右:「monofarm編集室」大木

学長: これから「ものづくり」はもっとみんなと近いものとなってくると思うんです。インターネットの普及に伴って、個人が情報の発信力を持つようになりましたよね。大きなメディアが情報を出していて、それをキャッチするだけといった構図が多かったものが、一般でも比較的鮮度の高い情報をすぐに仕入れることができるようになってきました。その情報も簡単に発信できるようになったため、見過ごすことができないほどの一個人が発言力をもつことができるようになってきています。このように「個」の中に情報が入ってきているなかで、次におこってくることは「ものづくり」が「個」の中に生まれてくることだと考えます。なので、オープンな形式での小さな「ものづくり」の場や、先ほど言われていた「1人メーカー」の流れは必然だと思います。例えば大手のハードメーカーなどは、「もの」を作って売ることではなくて、ソリューションを提供することでその先に付随する対価を得る考えであったりします。「もの」はサービスの一部であり顧客とつながる手段なのではないでしょうか。そして、「ものづくり」はみんなの手の中に入ってくることとなるので、そのかたがたに活躍の場を提供しお互いに良い状況の中で「ファン」になってもらう取り組みは企業にとってもいいことかなと思います。
大木: 「monofarmプロジェクト」としても、多摩エリアで「ものづくり」を通じ活躍されているかたがたに、「ものづくり」の場の提供や、支援を企業だけではなく個人レベルでも行えればと考えています。 学長がおっしゃられていた地域で「ファン」をどれだけ作ってゆけるかがある意味、「monofarmプロジェクト」なのだなとも感じています。
学長: ものづくりを行うにあたり、先ほどのデジタルファブリケーションの話もそうですけど、教育というものが必要になってきます。「monofarmプロジェクト」を通じ、「ものづくり」の技術者がいるスタジオを形成するのであれば、その「ものづくり」技術を教えてゆくことはとても重要な位置を占めると思うんです。教える人を育てて、またその人が継承してゆくと自然とコミュニティは発生してゆきます。「ものづくり」を行う場は、連帯感が生まれやすいと思います。
大木: なるほど。多摩エリアを見たときに「ものづくり」が発生しやすいエリアだと感じることはありますか?
学長: 多摩エリアには大学や工業団地も多くまた、個人レベルの商店のようなカタチで「ものづくり」が行える工房がもともとたくさんあったり、 さきほどの「木」で言うと産地に近かったりするので、「ものづくり」に対し遠くはないエリアだと思います。
大木: 最近学生に接する機会が多かったのですが、普通科の高校の生徒が「省エネカーレース」に自分たちが作ったマシーンで出場していたり、 工業系の高校で建造物のコンペティションに参加していたりと、私も多摩エリアで精力的に「ものづくり」を活性化するため取り組まれている学校も 多いのだなと感じています。
学長: そうですよね。最近では、多摩地域の小学校でもタブレットの導入検討や、過疎の始まっている学校で、遊休スペースを活用して「ものづくり」を推進したいといった話も聞いています。ある中学校から「にわ大」を通じて、街のガイドマップ作りの授業を手伝ってもらえないかといったお話をいただいてもいます。創造は根本的に楽しいことであって、おそらくそのことを皆が感じ始めていて、機器の発達と低価格化もあり、ものづくりの活性化が教育の機会であったり個人のレベルで起こり始めているのではないかと。「monofarmプロジェクト」の動きもそういうことだと思いますし、学校も多いのでもともと「つくる」という土壌が多摩エリアにはあるのだと思います。
大木: 「にわ大」の最近拝見した取り組みで、「消しゴムハンコづくり教室」ですとか、過去の授業で「魚拓」ならぬ「拓木」を作って人と自然について考える取り組みですとか、 「ものづくり」を通じた授業を多く開催されていると感じるのですが?
副学長: 授業で「革ノート(カバーが革でできたノート)」を作ったりもしました。授業の内容を「もの」という形で持って帰れると、後から振り返ったりできるので、落とし込み方の一つの形としてよいと 思います。
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「革ノート授業」で作った、副学長の革ノートの紹介

大木: この授業を行う際は、革職人の方が先生として登壇されたんですか?
学長: そうです。実際に革工房を営まれている方を先生として招いて授業をしています。
大木: 先生は「にわ大」のスタッフが探してらっしゃるんですか?
学長: コーディネーターと呼ばれるスタッフがそれぞれの身の回りで「ここで○○がしたいな」といった興味から企画を練り、授業を開催しています。イベント屋さんでもなく、別に本業がありながら「こういう場・授業をつくりたい」といった各々の想いで成り立っています。自分が第一の生徒として考えているんです。この人から学びたいという欲求と、それを多くの人に伝えたいという熱意で授業にしていきます。学びたいと、作りたいはすごく近い欲求だと思うんです。なので「にわ大」は学びの中で「ものづくり」の授業が多いというのは自然なことだとおもうんですよ。「つくる」と「たべる」は特に人が集まるテーマだと思います。
大木: わかりやすいですね。(笑)
学長: はい。わかりやすいです。(笑)
大木: やはり、自己実現欲というところなんですかね?
学長: そうだと思います。
大木: 見聞きしたところで言いますと、自己実現欲求を満たす一番のことは皆と「共創」することとありました。 「にわ大」では、「共創」するといったつながりを今後広げてゆくこととなるでしょうか?
学長: はい。世の中にはいろいろな役割の組織があります。直接的に何かを「つくる」「解決する」という企業があったり、もっと「社会的意義」をもったNPO法人などがあるとおもうのですけど、「にわ大」は一番間口が広くハードルの低い入り口だと思っています。それは仕事でも、学校でも、家庭でもない気楽に学べる場所であって、そのため授業料も無料としています。最低限の材料費はいただいていますが、講師の方にも無料でお願いしています。そういった、ハードルの低いところで、何か満足できて授業の中でコミュニティができてつながりができて、「にわ大」やまたその先にそれぞれの活躍ができるステージが待っているんだと思ってます。
大木: 次のステージといいますと、各々でより明確な目標をもつことができるといったつながりとなるのでしょうか?
学長: そうですね。「にわ大」の取り組みは自己実現や学びへの欲求でなりったている不思議な団体です。「にわ大」は「うつわ」みたいなものであって、そこをみなで使ってもらっているような感じです。下地は用意するので、使いたい人が使ってゆく。そして、その先に産まれてくる「もの・こと」に期待しているといった感じですね。
大木: 「にわ大」のつながりは世代関係なくといった感じですか?
学長: はい。下は小中学生から、上は企業を引退された方など、とても幅広くつながりを持っています。
大木: 生徒としてつながって、そこから先生となる場合もあるのですか?
学長: その逆もしかりで、「にわ大」は誰でも先生、誰でも生徒なんです。私も先生をしたこともあります。
大木: ちなみにその時はどういった授業だったのでしょうか?
学長: そのときはfacebook講座としての授業を2回しました。2回のうち1回は立川市との協賛でシニア向けの授業を行いました。
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大木: やはりfacebookの存在は大きいですか?
学長: 大きいですね。
大木: facebookの「つながり」があることで、「にわ大」のコミュニティも活性化している側面もありますか?
学長: SNSで代表的にいま使用しているのはfacebookですが、補完的役割でしかやっぱりないなとは思っています。今は使いやすいので使っていますが、情報発信に重きをおいたコミュニケーションツールは自分たちで持ちたいと考えています。facebookも発信力においては、落ちてきていると感じるところもあります。「にわ大」の取り組みから、いろいろなコミュニティが発生してるのですが、つながりつづけるツールとしてはとても良いとは思います。「にわ大○○」みたいなfacebookグループもたくさんあります。
大木: やはり、バーチャルだけではなくリアルな空間でコミュニケーションを図ることは、コミュニティの輪を広げてゆく上では必要とされるのでしょうか?
学長: やはりそれは自然な事だと思うんです。facebook上での資料や意見のやりとりはあったとしても、やはり何かの目的を持って集まっている団体は、自然とリアルで逢う事になるなと思っています。
大木: facebookを筆頭として、SNSが台頭し、そのなかで「つながり」という言葉がバズワード的に広まっていると感じています。「monofarmプロジェクト」においても、「つながり」を意識したいところなのですが、そこにはどこかリアルでのつながりをもたないと「monofarmプロジェクト」に対しても「ファン」としてつながっていただくことが、なかなか難しいなと感じているのですが…。
学長: 難しいと思います。
大木: やはり、「ものづくり」を通じての取り組みにおいてもそこはリアルでのつながりに重きをおくことが大切なのかなと感じています。
学長: そうです。その通りです。「ソーシャル」というのが僕の中でバズワードでした。でも、第三次産業革命のデジタル化と第一次情報革命のソーシャル化が平行して起きていると考えると少し理解が出来ました。個人レベルでも、情報処理としてコンピューティングとコミュニケーションが発達し、これからは「もの処理」としてマニュファクチャリングとファブリケーションが浸透するのだと思っています。何がいまやりやすくなっているのかというと、デジタルとリアルの行き来だと思うんです。 分かりやすいのが電子書籍だと思います。いままで紙の本でしか読めなかったものが電子化されて気軽に読みやすくなっています。かたやブログなどのWeb発信から書籍になることもあるし、フォトブックをつくる方もいます。このようにデジタルとリアルの相互のやり取りが発生していると思うんです。人のコミュニケーションも同じで、バーチャルだけじゃなくてリアルのコミュニケーションもあって、またそれを補完するソーシャルネットワークサービスがあってという関係性だと思います。
大木: これからの若いかたがたは、SNSのコミュニケーションに対して敏感な世代でもあると思うのですが、「ものづくり」を通じてリアルのコミュニティで「つながる」ことに 抵抗を感じないのでしょうか?
学長: いまの人たちを私が語れるのかはわからないのですが、逆になにかしなきゃと思っている人が多いなと感じます。 いろんなコミュニティで話をしに行きますと、二十歳そこそこの学生が何でそんな色々な事を考えて人に逢いに来ているのかなと思うぐらい不思議なところもあります。 僕は「にわ大」に関わるまで興味なかったですもん。山行って遊んでいる方が好きで登山ばかりしていました。
大木: そうですよね。私が学生の時も、あえて人と逢って学ぶことに執着心はそれほどなかったですね。
学長: ひとつ言える事は、やりたいことがあってそこに仲間が集まるということは、自然なことだとは感じています。 なにか人とつながりたいという欲求の人もいるのですが、「にわ大」はそこにバリエーションを増やしてゆきたいなと思っています。 そこに興味を持った方が、集まれる場所でありたいと思っています。例えば、僕が山に興味があったように、「ガチ登山授業やります」というものがあれば、 学生時代の僕もその授業に行っていたと思います。中には鉄道の授業とかもあるのですが、普段あまり外に出ないといった人がその授業には来ると言ったかたもいるんですよ。そのように、共通点がある人と逢える場所って楽しいじゃないですか。
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大木: なるほど。よく、昔からあるコミュニティに自治体があるかと思うのですが、その町や村の年長者とのつながりで、独自の文化を継承してゆくような場であったりすると思います。若い方はそのコミュニティにつながることが、ちょっとハードルがたかく感じてしまったりすると思うんです。そこで、「にわ大」のように個の価値観が多様化するのであれば、バリエーションに富んだ入り口をもうけて、つながりやすいように間口を広く構えていることがコミュニティを形成してゆく上で大切なのだなと感じます。
学長: 大切にしているのは、コーディネーターがやりたいという気持ちなんですね。コーディネーターの琴線に触れたことを授業にすると、そこに共感するかたが来るんですよね。たくさん来ればいいという訳ではなくて、一人も集まらなくてもいいんです。コーディネーターが興味を持ったことを発信することが大切だと感じてます。
大木: コーディネーターから自身の興味を発信して行くといった「にわ大」の取り組みを通じて見えて来たり共感される、‘これからのものづくり’とはどういったイメージをもたれますか?
学長: いままでの代表的な「ものづくり」のイメージは、日曜大工くらいのことなのかなと。日曜大工は家族の中だけで終わってしまうものだと思うのですが、 これからは、農業のようなものまさに「farm」のようなものだと思っていて、稲作などは一つの家庭で完結しないじゃないですか。近隣のかたがたと助け合いながら植えて、収穫するので、それは一つのコミュニティだと思うんです。「ものづくり」を行ううえでも、「こんなのつくりたい!」という人がいて共感する人が現れ、助け合いながらつくってゆくものだと思います。コミュニケーションをとりながら、出せる力を集めて何かをつくるというカタチです。とてもゆるい、「組織」ではない「つながり」です。地域レベルでいろんなチームが出来てきて、そのチームのカタチも常に流動的で、チーム間で相互に足りない力を補ってゆき、また新たにいろんなチームが出来てくるものと感じています。
大木: 地域レベルでいろんなチームが出来ていき、それがまたつながり大きなチームになったりですとか、どこかアメーバ的につながり多様化する時代に合わせ「ものづくり」が行われのですね。
学長: コミュニケーションとしても大切なツールにもなりますし、「ものづくり」の伝承として年齢関係なく教える人がいたり教わったりできる環境ですね。これは「ものづくり」の原点でもあると思うんです。
大木: いま日本のメーカーが衰退しているような現状をふまえると、「monofarmプロジェクト」においても「ものづくりの種」をたくさん集めて育み、実を付けそしてまた種を収穫してゆける取り組みを模索しているなかで、 「にわ大」の取り組みに対して共創してゆける環境が持てればと感じています。
学長: 昔はある決まった工業製品を作ってそれが売れる需要があったのですが、今はものが溢れているがために多様な商品が出来てきていましたが、さらに個が多様化しているためこれからは「ものを自らつくる」といった時代になったと改めて感じています。
大木: 「ものづくり」というキーワードを出すと、工業よりのイメージを持たれるかたが多いと思われますが、「にわ大」が思う「ものづくり」とはどこまでをイメージしますか?
学長: 「もの」「こと」を含めた全てですね。「もの」だけをつくることが「ものづくり」とは感じてはいないですね。「ものづくり」で発生するコミュニケーションを含めてだと思います。 新しいアイデアを考えるときは、だいたい人としゃべりながら、書きながら出てくることが多いんです。多様化する時代にフレキシブルに対応するためにも、 コミュニケーションも含めたことが「ものづくり」だと感じます。そして、手の届く所に3Dプリンタやレーザーカッターなりがあれば、試行錯誤が重ねられ より良い「ものづくり」へと発展してゆくと思います。そして、そこがみなとつくれる場であり、またつくる課程もシェアできるということが楽しい「ものづくり」だと感じます。 「共感できる」ってとても楽しいことだと思うんです。
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monofarm編集室がある、株式会社ニシカワに新しく設備導入された3Dプリンタと記念撮影

大木: 「ものづくり=共感づくり」ということなのですね!
学長: そういうことですね。共感できる「もの」であれば、それを販売し買ってくれるかもしれないですし。
大木: 人と人とのコミュニケーションやつながりといった「ことづくり」も含めて、「ものづくり」が成立するのですね。 「monofarmプロジェクト」としましても、どのように「ものづくり=共感づくり」を行えるのか、今後も模索し答えを出して行こうと思います。 今後の、「にわ大」の目標や展望などお聞かせいただけますでしょうか?
学長: 僕はもっと多様なかかわりをつくって行きたいと考えています。学びというツールに「授業」がありますが、今回新たに「編集」という人に伝える新たな顔ぶれが増えています。また、授業から飛び出したカタチで、学生主体で発足した9つのクラブがあり部長を据えてそれぞれが活動しています。「にわ大ラボ」をスタッフが良い意味で勝手に結成し「にわ大」と「にしがわ」を分析しようしています。にわ大との関わりから武蔵五日市に畑のコミュニティができて都会から少し離れた場所で土いじりを楽しむグループがあったり、仕事が生まれ「にしがわ」に引っ越しをしてくる方もいたり、にわ大生同士で結婚したり。「にわ大」の中と周辺で様々なことがうまれています。各自がやりたいことが1つずつカタチになって広がっていく。「それって「にわ大」だったの?」って言われるくらい自由に沢山。にわ大の役割は切っ掛けづくりと少しの後押しなのだと思います。豊かな暮らしの切っ掛けに「にわ大」があるよう活動を続けて行きたいです。
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副学長: つながりができた瞬間の人たちの顔がとても楽しそうなんですね。またそれを見ている私たちも楽しいですし。 その活動が継続されていることをfacebookで見ることもできますので、そういった活動を増やしてゆく事が私も大切に感じます。 「にわ大」に携わったことで知り得た楽しい「もの・こと」でもありますね。
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「にわ大」の学長と副学長よりお話をお聞きしたなかで、一番私が印象に残った事が、

post_strong_01 まずそこに携わる自分たちが「楽しむ」ことが大切。 post_strong_02

という事です。自分が楽しいと思った事を「授業」形式で発信し、そこに共感した人が集まりコミュニティが形成されてゆき、また新たなコミュニティを生むきっかけとなってゆく。それは、「ものづくり=共感づくり」であることを大切にする姿勢の現れでもあり、「東京にしがわ大学」ならではのすばらしい取組であると感じました。学長は最後にこのようにおっしゃっていました。

post_strong_01 「東京にしがわ大学」略して「にわ大」の「にわ」は、東京の心地よい「庭」であるよう、 開けた場所に人が集まってほしいという思いも込められています。 post_strong_02
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「にわ大」が描く、みんなで気持ちよく過ごせる「庭」となる学校のイメージ

これからも、「にわ大」は多種多様な身近な入り口からみなさんを受け入れ、
東京「にしがわ」の人と地域をつなげる「庭」となり活動してゆきます。

「にわ大」ホームページ
「にわ大」facebook

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