大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
monofarmから新しいものづくりの芽がたくさん育つことを目標に活動中。

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360°丸く収めるコミュニケーション手段。「RICOH THETA」プロジェクト。
SNS等を通じて多く目にするようになってきた360°見渡せる画像や映像。最近では様々なメーカーより、 360°の空間を誰でも手軽に撮影できるコンシューマー向け360°カメラがリリースされるようになりました。今回はその中でもいち早く製品化しリリースされた株式会社リコーより、商品企画部 野口 智弘さん(以下、野口さん)にお話をお聞きしました。

株式会社リコー 野口さん

株式会社リコー 商品企画部 野口 智弘さん


post_strong_01 弊社のカメラ事業は、リコー全体の中では今はまだ小さな事業ですが、画像処理技術や光学系技術はコピア、プリンター等弊社製品に共通して注力してきたテクノロジーです。現在直面するカメラ市場の縮小化中で、「企業の強みを活かして、新しい価値を創造する!」という事を目指して挑戦し、誕生したのが360°カメラである「RICOH THETA(リコー シータ)」です。
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では、「RICOH THETA」が誕生したきっかけはどのような事であったのでしょうか?

post_strong_01 「RICOH THETA」を企画するまでに、様々なアイデアがありました。その中で、最も注目したのがSNSによる新しいコミュニケーションスタイルの広がりでした。
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post_strong_01 その場の空間を全て撮り、シェアすること、これからのコミュニケーションスタイルにマッチするのではないか?という考えのもと「RICOH THETA」は誕生しました。
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RICOH THETA

画像左:「RICOH THETA S」、画像中央、右:「RICOH THETA SC」 360°静止画撮影、ムービー撮影、そしてストリーミング撮影(「RISOH THETA S」のみ)ができる

360°カメラ「RICOH THETA」をただリリースするのではなくAPIやSDKも提供され、ある種「デベロッパーコミュニティ」も意識された事についてもお聞きしました。


post_strong_01 そもそもオープンプラットフォームという潮流から、ユーザージェネレイテッド(ユーザーが育てていく)なハードウェアやアプリケーションが今後益々増えていくことは間違いありません。一方で、従来のカメラは一部を除いて、むしろその対極にあるといえます。
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続けて野口さんは話します。


post_strong_01 カメラは、メーカーが作りこんだ技術をブラックボックスにして、「さあ、これでどうですか?」と提供するスタイルです。画像処理や外部とのインターフェースをオープンにしないのが一般的です。
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確かにカメラ機器のイメージに「機能をユーザー主導で拡張できますよ!」なんていうイメージは無かったように感じます。


post_strong_01 これからのデバイスは、むしろオープンにして色んなアプリケーションを様々なユーザーに作ってもらい、それが自然に広がってゆくという形が自然だと考えています。
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post_strong_01 さらに、全く新しい市場を創造するのは、自分たちの力だけでは難しいし、時間がかかります。そこで、「ユーザーと一緒に、360°カメラという市場を盛り上げて行く仕組みを作ろう」という狙いで、API/SDKの提供をしています。
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360°で残したい日本の風景コンテスト

現在開催されている、「RICOH THETA」を使用した参加投稿型のフォトコンテストイベント「360°で残したい日本の風景コンテスト」(平成29年5月18日現在)

360°カメラ市場は現在どのような状況なのでしょうか。


post_strong_01 まだまだ、これからの市場です。「RICOH THETA」を知らなくとも、360°見渡せる画像はSNSなどを通じ目にする機会は増えてきていると思いますが、まだ立ち上げの時期から脱していない状況だと感じています。
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post_strong_01 現在、SNS等を活用した参加投稿型のコンテストやイベントを実施しています。これは、ハードウェアのPR以上に、コンテンツを見てもらうことで、凄い!撮ってみたい!という気持ちになってもらうことが重要だからです。その結果として、商品にも興味を持ってもらえたらと思います。
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さらに360°の空間を撮影する事の「面白さ」について掘り下げてお聞きして行きます。


post_strong_01 360度の面白さの一つに、後々見返したときに、自分が意図していないものがたくさん記録できているということがあげられます。それは時間がたてばたつほど、増していく価値であり、楽しさです。例えば、昔住んでいた家のリビングルームの画像があったとしたら、観ているだけでそれは楽しいと思うんです。今この空間を撮ってみても、見渡す景色と同じであるため表示の目新しさだけに目がいってしまいがちですが、時間を置いて見返してみると、記憶から欠落した多くの事が360°画像から発見できるので、コンテンツそのものの価値を実感できるようになります。
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timotheosphilos - Spherical Image - RICOH THETA
nrjmobile - Spherical Image - RICOH THETA

「RICOH THETA」プロジェクトの今後の展開についてお聞きしました。

post_strong_01 基本的な画質向上は当然良くしていかなければなりません。解像度だけでなく、フレアやゴースト低減といった超広角レンズ特有の課題にも取り組んでいきますし、当然、スティッチング精度も高めていきます。動画画質についても同様です。先日、開発発表をした4K対応モデルを年内には発売させていただく予定です。
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post_strong_01 さらに今後重要になっていく音声ですが、3D音声、空間音声にも注力していきます。360°映像で、観ている方向の音、観ている方向の後ろから聞こえる音を再現する機能です。より臨場感、没入感を高めるためには「映像と音」はセットであると考えているので今後もしっかりと対応して行きたいです(これは是非体験したい!)。
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360°の空間を丸っと気軽に手軽に伝えるコミュニケーション手段を私たちは手に入れました。これからも「RICOH THETA」を通じて、様々な「もの・こと」を360°丸く収めて皆で楽しめる事ができてきそうです。


RICOH THETA
株式会社リコー
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