大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
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「天竜杉」を、次世代に伝え託したい。天竜 丸志グループの「山と都市」をつなぐ仕事。
様々な美しい森林のある日本の中で、最も林の景観が美しいとされる日本三大美林。日本三大美林には「天然」と「人工」があり、「天然」は手が入れられていない美しい林、「人工」は日本伝統の林業で今もなお美しいかたちを保たれている林となるようです。天然の日本三大美林は「青森県の青森ヒバ」「秋田県の秋田杉」「長野県の木曽檜」、そして人工の日本三大美林は、「奈良県の吉野杉」「静岡県の天竜杉」「三重県の尾鷲(おわせ)ヒノキ」となります。

今回お話をお聞きしたのは、人工の日本三大美林のなかでも「天竜杉」、「天竜檜」を積極的に使用した家づくりを提供される、天竜 丸志木材グループの方々です。まずは、静岡県浜松市天竜区で製材業を営む丸志木材株式会社の川嶋 和幸 工場長と南角 敦 副工場長にお話をお聞きしました。


post_strong_01 まず私たちが実感していることは、昔と比べると天竜地域の製材所はかなり減ってしまったということです。
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丸志木材株式会社 川嶋 和幸 工場長

丸志木材株式会社 川嶋 和幸 工場長

天竜地域は昔、林業で栄え活気を帯びていたが、現在は限界集落となり地元での職員雇用すら難しい状況となっていると話します。


post_strong_01 天竜地域は山林地帯なので林業、製材業、土木業が主だった産業となります。この町で育った子たちはおおかた天竜を離れてしまうという現状を変えるためにも、私たちはここ天竜地域の産業活性化をめざし山の仕事に取組ます。
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人工の日本三大美林の一つである「天竜杉」は綺麗な杉材としても有名であるようです。それでは「天竜杉」は全国の杉材とどのような違いがあるのでしょうか?


post_strong_01 天竜地域は土壌が肥えていて、水分を多く蓄えているため木材が育つ環境に適しています。「天竜杉」をカットした際、断面が赤みがかったピンク色をしていて、木目も程よく詰まっているのが特徴です。
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天竜地域は杉材が成長するために適した気候条件と生育環境があるため、「天竜杉」は強度も規定値を超える数値となり、住宅を建築する際の構造材としても好まれ使用されるとのこと。このように品質の高い「天竜杉・檜」が生育する天竜の山から年々山主様が離れてしまっている事も大きな問題でありとても寂しい事と話します。


post_strong_01 山の後継者問題で年々所有者不明の山が増え、それと同時に手入れが行き届かない林も広がりつつあります。先人の方々が、一所懸命手入れしてきたから今の天竜材の品質があります。しかしながら、主伐もされぬままの立派な「天竜杉・檜」が今では飽和状態となり、山の手入れが行き届いていない現状があります。
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丸志木材株式会社の製材所にて、「天竜杉・檜」の原木が無駄なくカットされてゆく

天竜の山は急勾配が多く重機が入りにくいため、木を切り出すにも特殊な技術や資格を必要とし山の手入れも簡単ではないようです。このような急峻な地形より古くから「暴れ天竜」と言われ、昔は大雨の際に洪水災害となりやすい地域でした。明治初期に金原明善(きんぱらめいぜん)氏の植林による治水事業が始まり、そこから天竜地域で林業が本格的に発展して行くきっかけとなったようです。このように先人の苦労から現在の「天竜杉・檜」というブランドが築かれて来ました。

そして、皆様により広く「天竜杉・檜」の魅力を伝え、これからも使用していただきたいと言う思いから、東京都東村山市より新たな取組がはじめられているようです。天竜 丸志木材グループ、清水 宏剛 代表(以下、清水代表)、河内 俊祐 部長(株式会社丸清)、小川 隆文 支店長(丸志木材株式会社)にお話をお聞きします。

天竜 丸志木材グループ、清水 宏剛 代表(以下、清水代表)、河内 俊祐 取締役(株式会社丸清)、小川 隆文 取締役(丸志木材株式会社)

画像中央:清水 宏剛 代表、画像左:小川 隆文 支店長、画像右:河内 俊祐 部長


post_strong_01 多くの方々に「天竜杉・檜」の魅力を伝えたいため、天竜の森林体験として「天竜美林見学バスツアー」や、「木工ファクトリー」なる天竜材を使用したワークショップの開催、そして天竜材で作られた居心地の良い空間「ecomoko」というオーガニックショップを展開し、「天竜杉・檜」のある衣食住環境を皆様に広く体験していただけるよう取組をはじめています。
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このように、天竜の山から私たちの身近なくらしまでひとくくりにして考え、私たちに「天竜杉・檜」の魅力を伝えられる理由として、天竜 丸志木材グループに製材から建築、さらには不動産提供まで行える一貫体制があるからできる事と話されます。そこには、天竜 丸志木材グループ二代目 清水代表の天竜地域に対する想いがあるようです。

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天竜 丸志木材グループの株式会社丸清が運営される、オーガニックショップ「ecomoko


post_strong_01 私は、天竜で生まれ育ちました。そして、先代が立ち上げた天竜の製材工場を今後も継続そして発展させて行くことが使命と考えています。
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つづけて、清水代表は話します。


post_strong_01 さらには天竜地域での雇用の活性化も促したい。天竜は大半が「山の仕事」で成り立つ地域ですから、山の手入れが急務と考えます。山の手入れは、現在地元の森林組合を通じて行われていますが、林業関係者の人手不足で手入れが追いつかない状況でもあります。そのため、私たちも天竜地域で製材業だけではなく、林業に入り山の手入れをして行く事も視野に入れた事業展開を考えています。
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このように話す清水代表は、東京都東村山市より皆さんの暮らしの窓口となるため地域に根付き取り組み、その取り組みを天竜に返してゆくことで「地域の活性化」を促したいと話します。天竜 丸志木材グループ皆さんの想いが、山地と都市をつなぎ、先人から受け継いだ「天竜杉・檜」をまた次世代に伝え託してゆく原動力となっているのかもしれません。



丸志木材株式会社
株式会社丸清
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