大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
monofarmから新しいものづくりの芽がたくさん育つことを目標に活動中。

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クリエイティブな子供達の「たまりば」をつくりたい!合同会社イーヴァの体験型アプリ作成教室
私たちの暮らしに役立つあらゆる物は、無数のアプリケーションで溢れています。例えば、スマートフォンやタブレットデバイス、パソコンはもちろんのこと、炊飯器や電子レンジ、エアコン、ウォシュレット型トイレにもアプリケーションがプログラミングされ、暮らしを快適にする物として役立っています。

私たちの身近な存在にある「アプリケーション」ですが、「どのようにプログラミングされて動いているのか?」という事となると、急に皆が知っている「もの・こと」ではなくなり、距離を置いてしまいがちではないでしょうか?しかし、私たちに欠かせない「アプリケーション」がどのような仕組みで成り立っていて、機能しているのかを理解していると、暮らしの中での気づきや個々の「ものづくり」の幅を飛躍的に広げる事にもつながります。

今回取材させていただいた、合同会社イーヴァ代表の石橋 利也さん(以下、石橋さん)は、初級〜上級までのアプリケーション作成が学べる教室を開き講師としても取組むかたわら、「のせラジ」というモーターを搭載できる物であれば何でもラジコンにしてしまうキットを開発し、皆さんの身近な「ものづくり」からアプリケーションを学べる機会を広げるため活動されています。

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合同会社イーヴァ代表の石橋 利也さん

それでは、石橋さんにお話をうかがって行きます。


post_strong_01 合同会社イーヴァとして「子どもアプリ作成教室」を起業し10年目となります。もともと私は、受託型の組込系プログラム開発を行うエンジニアであり、現在もこの仕事は引き続き行っています。「のせラジ」については2012年12月にプロトタイプを作り始め今年で3年目を迎えています。(2015年12月現在)
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合同会社イーヴァを起業するきっかけはどのようなものだったのでしょうか?


post_strong_01 人間、年を取ってくると人に「もの・こと」を教えたくなるといいますか(笑)。そもそも、子供達が教育を通じてパソコンを扱える環境が、新興国と比べて日本は充分でないことをあらゆる報道を通じ感じた事がきっかけです。今後を考えた時に、アジア各国と日本とでテクノロジーや教育において大きな差が生じてしまうのではないかという危機感にも似た想いなのかもしれません。日本の子供達が活躍できないような未来は「非常に寂しい未来」でありますし。そのような未来にならないためにも、プログラムを理解し、コンピューターがどのように動いているのか知識があるという事は、あらゆる職業を行うにも無駄にはならない有益な話だと思うんです。
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続けて、石橋さんは話します。


post_strong_01 例えば、「あらゆるスポーツの祭典で金メダルとりたい!」とか「お店を開きたい!」といった事でも、コンピューターのプログラムを知っている事がとても役にたちます。何か目標を掲げその成果や進捗などを管理し達成するためのソフトウェア開発をする場合でも、全くアプリケーション知識がないのでは進行に支障をきたすことと考えます。「子供の頃に、そういえばこんなことやっていたな〜」と覚えていれば、物事がスムーズに進むことにもつながると思います。
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石橋さんは、今までの自身の経験と体験を活かす形で、子供への教育の場を開かれたようです。


post_strong_01 現在、子供向けのプログラミング教室は増えつつあります。本格的にプログラマーを育てるという教室も良いと思いますが、どんな方にも得手不得手はあります。例えば、プログラムを組んだりするのは苦手だけど、電子工作はやってみたいとか。あるいはアプリケーションを作ると言っても、スマートフォンやダブレットデバイスでは絵を描いたり音楽を演奏したりと、色々な要素をアプリで表現できます。そこで、「子どもアプリ作成教室」では集まった子供達がコミュニケートしながら、それぞれの得意な事を学び活かしつつ1つの物を作りあげるという様な、体験型の教室としています。
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自分の得意な「もの・こと」から、アプリケーションについて体験し学ぶ場に、石橋さん開発の「のせラジ」という電子工作キットが一役買う形で導入されている様です。「のせラジ」を開発することとなるきっかけについて、お話しを伺います。

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「のせラジ」電子工作キットとスマートフォン・タブレットデバイスがあれば、アイデア次第であらゆる物をオリジナルのラジコンとして動かすことができる


post_strong_01 当時まだ新しい通信規格であった、「Bluetooth Low Energy(無線PAN技術であるBluetooth仕様における、バージョン4.0の呼称)」を使用する仕事を受け、こなしている間に、「モーター付けて動かしたら面白いんじゃない?」というヒラメキがきっかけでした。そして、材料を寄せ集めて作ったプロトタイプは、スマートフォンからおもちゃの車を動かせるものとなりました。TVプログラムでも取り上げて頂いたりと、それなりの手応えを感じたので、本格的に「のせラジ」を開発した感じです。
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post_strong_01 子供達にとって扱いやすい形と機能を追求し絞り込み、現在の「のせラジ」となりました。「のせラジベースユニット」と「のせラジ本体」が脱着式であるため、電子工作の幅が広がり世代問わず楽しめるキットとなります。
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子どもだけではなく、大人も夢中になるような電子工作キット「のせラジ」を開発・リリースすることで、どのような「もの・こと」を期待されますか?


post_strong_01 1人で「のせラジ使ってなにを作ろう?」と考えた場合、どうしても良いアイデアが思い浮かばない事は多々あると思います。より多くの人に様々なことを考え作ってもらると、多様な「のせラジ」を使ったアイデアが出て共有されますし、その先に「のせラジ」のコミュニティが生まれ育って行くことにつながれば良いなと思います。
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石橋さんは現在、大学や企業の研究機関との連携で「のせラジ」を使ったハッカソンや、アイデアソンを積極的に開催し、「のせラジ」の使い方を深める場づくりにも尽力されます。

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群馬大学 未来MAKERSフォーラム」とアイデアソンを共同開催(2015年12月現在)


post_strong_01 電子工作の中でも、Arduino(アルデュイーノ)やRaspberry Pi(ラズベリー パイ)など様々なマイコンボードが発売されています。当然、それらを用いて複雑なことを行うことができますが、基板剥き出しの時点で「これは私に関係無い!」といった事にどうしてもつながりがちなんです。それだとやはり、テクノロジーに対する裾野が広がりません。「のせラジ」は最低限に機能を絞り込み、マイコンボードをプラスチックケースで覆うことで、いままで「電子工作なんて関係無い」と思っていた人にまで裾野を広げられる製品であると感じています。
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「こどもアプリ作成教室」:「のせラジ」ワークショップの様子

最後に今後の目標をお聞きします。


post_strong_01 「のせラジ」を中心としつつも、そこからいい意味での子供達の「たまりば」を作りたいと考えています。基本は「ものをつくる」と言う場ですが、「つくる」と言っても電子工作であったり、アプリケーション、音楽であり、もしかしたらえ絵を描く事でもあるのかもしれません。どうしても、私はエンジニアであるのでデジタルな方法でしか教えられませんが、私達の考えに賛同していただいている、地元の音楽家の方や、イラストレーターの方も多くいらっしゃいます。できたら、アナログからデジタルまで一続きにつながるクリエイティブな子供達の「たまりば」を築いて行きたいです。
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現在、「これからの教育のあり方」について様々な場で活発に議論されているように感じます。「これからの教育のあり方」の1つのカタチが、石橋さんがめざす「クリエイティブな子供達のたまりば」であるのかもしれません。


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「のせラジ」公式サイト

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