大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
monofarmから新しいものづくりの芽がたくさん育つことを目標に活動中。

記事の絞り込み

学生達が集いつながり「ものづくり」の自由さを伝えて行く場、「多摩美ハッカースペース」
普段の暮らしの中で、ふと思いついた「ものづくり」を、気軽に行えてしまう「ものづくりスペース」が身近にあると、暮らし方も変わるのではないでしょうか。「多摩美ハッカースペース」は、そんな気軽に「ものづくり」が行えるスペースとして存在します。名の通り多摩美術大学内にある「ものづくりスペース」ですが、ただの「ものづくりスペース」ではなく「ハッカースペース」とするところに興味が湧きます。いったい「多摩美ハッカースペース」とはどのような「ものづくりスペース」なのでしょうか。多摩美術大学メディアセンター所長・教授 久保田 晃弘さん(以下、久保田教授)(2015年8月現在)にお話をお聞きしました。


post_strong_01 以前はなんとなく作品をつくる空間として曖昧にこの場を使用していましたが、より多くの学生達にオープンに使ってもらえるような場所としたいため「多摩美ハッカースペース」という名前をつけ2010年の4月に誕生しました。「ハッカー」とは悪い意味も良い意味も含まれますが、ここで使う「ハッカー」は自由にものづくりを繰り広げるという意味合いととらえています。
post_strong_02

「多摩美ハッカースペース」は、「Fablab Japan」にも参加していて「FabLab(beta)」として登録もされているようですが?


post_strong_01 ちょうど「多摩美ハッカースペース」が誕生した頃、田中 浩也さん(慶應義塾大学環境情報学部准教授:2015年8月現在)らが「Fablab JAPAN」を立ち上げる話をされており、単にデジタルなオンラインだけでつながるのではなく、「ものづくり」のためのリアルなフリースペースが必要だという流れがあったのだと思います。その動きとシンクロして「多摩美ハッカースペース」は「FabLab(beta)」とも呼ぶようになりました。
post_strong_02

TAMABI_03
(beta)とするところは、Fablab認定基準となるFablab憲章に、「週に1回以上は一般に公開されていること」とあり、「多摩美ハッカースペース」は大学校内にあり一般開放は難しいため、「FabLab(beta)」としての登録となったようです。


post_strong_01 結果として「多摩美ハッカースペースがFabLab(beta)ともなった」というのが、時代である気はしています。この場は、ただ来て話したり、お弁当を食べたりすることもできるし、いろんなことで使えます。用途を決めてしまうと逆に窮屈な場所となってしまうことにもなりますから。ここの第一の特徴は「教室ではない」ということでしょうか。
post_strong_02

教室ではない「多摩美ハッカースペース」で日々行われる「もの・ことづくり」について、


post_strong_01 もちろん授業課題をここでこなす学生もいますが、それよりも、日々の実験としての「ものづくり」を行う場として活用されています。ひとつの例として「畑部」というものがここから生まれました。
post_strong_02

「畑部」とは?


post_strong_01 校舎の脇に小さな畑を作って、野菜を育てて食べようという取り組みが自然発生的にできてきました。採れた野菜を使って料理し皆で食べたり、ポスター作って部員募集したり、イベント展示するため制作活動したりと、ある種部活のようなものです。
post_strong_02

TAMABI_09

「畑部」の活動風景

TAMABI_01

イベント展示するため制作された「バイオファブ」のロゴ

TAMABI_08

「畑部」から誕生したバイオアート(お皿から芽が出る楽しい作品)

自分達の興味関心のある「ものづくり」を追求するため、あらゆる学生がコミュニケートできる場でもあるようです。「多摩美ハッカースペース」の立ち上げ時に、まだ学生としてよく使っていたメンバーの1人、多摩美術大学 副手の堀口さん(2015年8月現在)は言います。


post_strong_01 ここのスペースはもともと大学院生だけが使っていたスペースだったんです。ここが「多摩美ハッカースペース」となってからは、興味がある人なら誰でも使っていいよみたいに、入りやすくなったという感じでした。オープンな物を使用し、オープンな環境で、皆が作った物がオープンに置かれているというのはとても楽しいことだと感じています。
post_strong_02

TAMABI_04

先輩たちの作品や、Fabツールなどがそこかしこに置かれている

TAMABI_05

【先輩たちの作品.01】テキスタイル(後輩に語らずとも諭しているかのよう)

TAMABI_07

【先輩たちの作品.02】ランプシェード(電球を交換することができない攻めた作品)

「多摩美ハッカースペース」は学生達が生み出す作品のショールーム的な役割にもなっているとのこと。自由な場所をつくることで、いろんなものが蓄積されていくことの楽しさがあるようです。


post_strong_01 テキスタイルを作りたいからこのマシーン貸して欲しいとか。そのへんの自由さっていうのがいいですね!研究室で管理している機材はそんな気軽に使えたりできないですが、この場にある機材は自由に使えますから。ここだと絵を描く人、彫刻するひと、刺繍するひと、野菜つくるひと、様々な学生が集まることで多様な「ものづくり」に広がるきっかけが生まれています。植物育てている脇でレーザーがバシバシ飛び交うかなりカオスな空間でもあります(笑)。
post_strong_02

TAMABI_02

画像左から、久保田教授、お皿から芽が出るバイオアートの制作者(多摩美術大学学生)、副手の堀口さん

「多摩美ハッカースペース」が今後も大切にして行きたいこととして久保田教授は話します。

post_strong_01 やはり世の中には、ムーブメントやトレンド(流行り廃り)というものが何においてもあると思いますが、ここはそういったことを飛び越えて続けて行くことが1番大切だと感じています。「こうしなきゃいけないよ!」という事は、このようなオープンスペースで学生にいうべきではないと思います。ここ自体がものづくりを育てる「畑」みたいなものなので、「こういうものは面白そうだな」と皆で種を蒔き、何が育ってゆくのかを楽しむ場所であるべきだと感じています。
post_strong_02

続けて、このようにも話します。


post_strong_01 世代によってやっていることは変わっていきます。その履歴がずっとここに残っている感じです。「先輩がこうやっているから、同じようにやりなさい」ということではなく、皆がここに来て自然と文化が共有され、人とのつながりを産んでいく場にしていきたいですね。
post_strong_02

普段知り合うことはない学生達が集い、時にはつながり「ものづくり」の自由さを伝えて行く場、「多摩美ハッカースペース」。みなさんも「ハッカー」となって、自由な「ものづくり」を楽しみ共有してみませんか?


多摩美ハッカースペース
多摩美術大学

関連記事