大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
monofarmから新しいものづくりの芽がたくさん育つことを目標に活動中。

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未来への無限の可能性を秘めた「省エネカーレース」に挑む
昭和第一学園高等学校 自動車研究部
「省エネカーレース」を通じて、日々ものづくりにチャレンジし続ける高校生達がいます。 彼らは東京都立川市にあります昭和第一学園高等学校の自動車研究部の生徒達です。

そもそも、「省エネカーレース」とはどういったレースなのかを紹介させていただきます。
大会名称は「Honda エコ マイレッジ チャレンジ」といいます。大会名に入っている通り、自動車メーカーで有名な「Honda」が主催されて行われるレースです。開催場所によって大会名は異なりますが、昭和第一学園高等学校、「自動車研究部」は「もてぎ大会」と「全国大会」に参戦予定となります。「全国大会」には「本田宗一郎杯」といった本田創始者の名がつくほどの盛り上がりを呈します。そして、競技規則が独特でもあります。


■競技規則
○走行速度:平均速度25km/h以上であること。
○燃費計算:公式距離÷(消費燃料重量÷燃料密度)=燃費
○走行距離・走行時間(グループ2 ※グループにより規則が異なります)
 周回数:7週(16389.68m)
 規定時間:39分20秒11


規定時間内にコースを7週し、その燃料使用量で燃費を競うレースです。いち早く7週走り終えることを競うと思いがちですが、あくまでも省燃費のレースなため、エンジンをあまり稼働させずに、基本アイドリングストップで時間内に走り終える難しさがそこにはあります。現在の最高記録は、2011年の全国大会で記録された3644.869km/ℓとあります。驚異的な記録ですよね。この省エネカーレース「Honda エコ マイレッジ チャレンジ」は、1981年に三重県の鈴鹿サーキットと埼玉県の桶川で、「Honda」主催による「Hondaエコノパワー燃費競技大会」という大会名でスタートし、初年度の最高記録は、鈴鹿が292km/ℓ、桶川の高速訓練コースが621km/ℓだったようです。この結果からして、自動車が省燃費化していった背景には、こういったレースより培った省燃費カーのものづくり技術と情熱が活かされてきた証だと感じます。これからのものづくり技術の最先端で、昭和第一学園高等学校の自動車研究部の生徒達は鋭意活動します。

部が活動をするうえで、部長の屋良君は部の「モットー」を特に大切にしていると言います。

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自動車研究部「モットー」



post_strong_01 ‘あきらめない’はあきらめずに最後までものをつくることで、‘まもらない’は常に新しいことにチャレンジすることです。 post_strong_02

と明確に応えます。そして部長として「報告・連絡・相談」を心掛け部をまとめます。何か問題があったら部員から逐一報告を受け、先生に相談し問題解決に向け取り組むことを徹底し心掛けたいとのこと。

そして、部長含め部員のみなさんは、自分の考えたものを形にすることが好きで、未来のものづくりに対して、より良いマシーン(機械)やものづくり環境で、自分の作りたいものを実現させてゆくことに期待を膨らませます。そういった部員の想いが、燃費を伸ばしてゆく原動力となってゆきます。

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「省エネカーレース」に参戦予定の機体

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レースに向けセッティング中の省エネカーエンジン

自動車研究部の目標としては、やはりでるからには省エネカーレースでの優勝です。昨年は燃費約1000km、一昨年は燃費1300kmというレース結果でした。順位的には6位入賞まで一歩及ばずです。直近では、2014年6月28日(土)に行われる「もてぎ大会」でまず入賞(6位以内)をめざします。その後、2014年9月27日(土)に行われる「全国大会」にも出場する運びとなります。

「自動車研究部」顧問の新屋敷先生に、「自動車研究部」の取組についていくつか質問させていただきました。

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自動車研究部顧問「新屋敷先生」

post_strong_01 <昭和第一学園高等学校「自動車研究部」の歴史について>
平成4年に「機械研究部」としてスタートしました。特に年間テーマは無く、既製品のラジコンを作ったり、その他いろいろな物を制作する普通の工業系の部活です。そんな中で、生徒から『先生「省エネカーレース」って知ってる?』との問いかけがありまして、そこから部が一変することとなりました。その生徒の友達が、他校で既に「省エネカーレース」に取り組んでいるということで、なんとなく「おもしろそうだ」と感じ、省エネカーレースを当時の部員たちと見に行ったのですが、そこには日本全国から部員たちと同じような高校生が集まり、自分たちの作った「省エネカー」でレース参加し、しかも、自分たちより年齢の低い中学生や、目標とするような企業のかたがたも参加している現状を目の当たりにしたのですね。部員たちはもちろんのこと、みなで目を丸くしてその大会の様子に釘付けとなりました。その後すぐに、「省エネカーレース」への参戦を決意し、「自動車研究部」の発足にいたります。
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「省エネカーレース」に参戦予定の機体

post_strong_01 <企業さまからの支援について>
「自動車研究部」としてスタートはしましたが、カーボンやハニカムなどレースに出場するにあたり有利な素材は高価でなかなか扱えない現状があります。 そんななか、「昭和飛行機工業株式会社」さまより、まともに買ったら1枚7〜8万円するようなハニカムを毎年のように供与、ご支援いただけている状況は とてもありがたいことです。そこには、「次世代の産業界を担う生徒たちのためになる研究に、なにがしか支援をしたい。」との想いが込められています。 また、「エナックス株式会社」さまからは、「学生たちに夢を見させてやってくれ。」とのことで、3〜4年前にリチウムイオン電池を破格でご提供いただきました。それまでは鉛バッテリーを使用し電池容量約1.5kwで重量約70kgでありましたが、リチウムイオン電池ですと電池容量約3kwで重量17kgとなり、レースにおいてはとても有利となります。生徒達も日頃、自主的にネット等で検索し、レースに有利な素材等の提案を行います。例えば、アルミでもジェラルミンがより軽くて強度があるとの提案がありましたが、やはり高価なんです。そこでも、町工場から出た端材を提供していただける恵まれた環境とつながりをもつことができ、レースに有利な素材を扱うことができています。そういった供与や支援をいままでに20社くらいに渡りご協力いただけ「自動車研究部」の今にいたります。
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ソーラーカー機体(「ソーラーカーレース」へも参戦しています。)

post_strong_01 <「ものづくり」を通じて生徒たちに伝えてゆきたいこと>
「ものづくり」には、工業的なものや文化的なものなど様々なものづくりがありますが、私たちは特に工業的な「ものづくり」を行います。大昔から伝統として脈々と受け継がれてきた「ものづくり」は、ほとんどが手作業で作られる「ものづくり」でしたが、今ではほぼ工作機械からなる「ものづくり」です。「ものづくり」も、時代と共に変遷はしています。しかし、中心は常に「人」であってそこだけは普遍なのです。常に人が「ものづくり」に携わらなければならないからです。そのため、若いうちに物を作るということについて親しみや興味をもって楽しんでもらえるように生徒たちを育ててゆきたいというのが 僕らのスタンスでもあります。想いとしては、部活動の中で基本的な「ものづくり」の技能を身に付けてもらい、将来是非エンジニアを目指してもらえたら至極うれしいです。
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と、新屋敷先生は応えます。
1番印象として残っている言葉が、新屋敷先生がおっしゃっていた以下の言葉です。

post_strong_01 これからの社会は、今にもましていろんな問題を抱えた時代となることと思います。そういった課題や問題をクリアしてゆく、「解決力」を身に付けることが一番肝心なことだと考えます。生徒達には、「省エネカーレース」を通じて結果を出させたいと思いますが、それにも増していろんな問題があった時にそれに打ち勝つだけの体力、それを乗り越えてゆけるだけの力を是非この部活動で体験・経験してもらいたいです。この部で掲げた「モットー『あきらめない、まもらない』」の実践につきると思います。 post_strong_02

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昭和第一学園高等学校「自動車研究部」のみなさん

「省エネカーレース」という、「タイムを縮める」従来の引き算的なレースでななく、逆に「燃費を伸ばす」という足し算的なある意味、未来への無限の可能性を秘めたレースを通じ、新屋敷先生の教えのもと、新時代の荒波をも物ともせずに乗りこなしてゆく「これからのものづくり」を担う若者たちへと逞しく育ってゆきます。

昭和第一学園高等学校
Honda エコ マイレッジ チャレンジ

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