大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
monofarmから新しいものづくりの芽がたくさん育つことを目標に活動中。

記事の絞り込み

東京チェンソーズと歩む、30年間の美しい東京の山づくり。「東京美林倶楽部」が満を持してのスタート!
東京の山の美しい森林づくりより、私たちの暮らしを豊かにするため、林業の方々は日々山に入り取組まれます。しかし、今東京の林業が衰退傾向にあるようです。その代表的な要因として、輸入材価の影響による多摩産材価の低下があるとのこと。今回、この東京の林業の問題を自分たちの手で改善しようと取組まれる、「東京チェンソーズ」代表の青木 亮輔さん(以下、青木さん)にお話をお聞きしました。

post_strong_01 いつも聞くところ、日本の林業衰退の原因は「輸入材による国産材価の低下」の話ばかりなんです。このままでは、林業自体職業として面白みのないものとなってしまうと感じていたんです。
post_strong_02

tokyochainsaws_01

「東京チェンソーズ」代表、青木 亮輔さん

開口一番青木さんはこのように話し出します。そこには、林業に対するの3K職場(「きつい (Kitsui) 」「汚い (Kitanai) 」「危険 (Kiken) 」)イメージや、「国産材価の低下」により生活する上でかかせない給与水準の悪化など、全国的に取り上げるべき問題があると感じてのことのようです。そこで青木さんは、

post_strong_01 自分たちが理想とする林業をやってみよう!
post_strong_02

と「株式会社 東京チェンソーズ(以下、東京チェンソーズ)」を、2006年に同志4名により創業されます。1度耳にすると、良い意味忘れることのできない「東京チェンソーズ」という社名は、どのような経緯で考えられたのでしょうか。

post_strong_01 今では林業はあまり人に知られない職業であるため、子供達が憧れる職業の1つにしたい。そのため子供でも覚えやすいネーミングにしようとの想いがありました。
post_strong_02

それを受け、木田 正人さん(東京チェンソーズ広報ご担当者)より、「東京チェーンソーズでいこう!」との提案があったようです。

post_strong_01 「東京チェーンソーズ」から「東京チェンソーズ」に短くしたのは僕ですけどね!(笑)”
post_strong_02

tokyochainsaws_02
晴れて、「東京チェンソーズ」がスタートし今では、メディア各種に取り上げられるほど「これからの林業のカタチ」の1つとして認知されつつあるようです。「東京チェンソーズ」が林業に取組むにあたりどのようなことを意識されているのでしょうか?

post_strong_01 東京に限っていいますと、都民の方々が東京の林業に対する期待値は木材生産で約3%、それに対し「森林体験・環境保全」に対しては約30〜60%という高い指示を集めています(都政モニターアンケート結果参照)。このアンケート結果を踏まえると、林業のすべきことを「木材生産」としてしまうことで、都民の方々との間にミスマッチがおこります。であれば、都民の方々が求めている「森林体験・環境保全」を入り口にホームページ(SNS各種)にて情報発信を行い、「東京チェンソーズ」に興味をもっていただくところからまずはじめようと考えました。
post_strong_02

tokyochainsaws_03

引用元:平成24年度第2回インターネット都政モニターアンケート結果「東京の森林・林業と水産業」

続けて青木さんは話します。

post_strong_01 自社主催イベントなども一般の方々が興味をもっていただけることを中心に開催しております。例えば、ツリークライミングや、草木染め、木工細工のワークショプ、そして今回第1期となる「東京美林倶楽部」も同じ考えからスタートしました。「東京美林倶楽部」では、苗を植えるところからはじめられるため、自然に対する興味関心のつながりを大切にして行けるイベントでもあります。その先に、林業の発展があると感じます。
post_strong_02

青木さんは林業衰退の原因についてこう話されます。

post_strong_01 林業の最大の問題は、植林してから収穫までの期間が長いということです。最低でも30年。長ければ、50年、100年、200年。植えてから収穫までのスパンが長いということは、将来の木材価格に会社(林業)自体が左右されるということです。戦後はまだ木材価格が高かったため、大量に植えていたのですが、現在では木材価格は下がってしまいました。そして、東京の森林は見放されてしまったんです。
post_strong_02

このような林業が衰退する現状を捉え展開される、「東京チェンソーズ」の新プロジェクト「東京美林倶楽部」についてお話をうかがいます。

tokyochainsaws_04

「東京美林倶楽部」ロゴマーク

post_strong_01 どんな新しい取組をしても、最終的に林業は木材価格に左右されてしまうのであれば、「先にお客さまよりお代をいただくことはできないか?」と考えるようになったんです。そこで「東京美林倶楽部」では、はじめに1口(苗木3本)5万円でお客さまにご購入いただく販売形式としました。商品内容としては、お客さまがご購入いただいた苗木を自ら植林することからはじまり、その後30年間苗木の成長を通じ楽しめるイベントとしてご参加いただけることとなります。それは参加者の興味関心事でもある「森林体験」や「環境保全」活動に参加することでもあります。このように、苗を購入し30年間楽しめるイベントとして販売できれば、将来の木材価格に左右されることなく事業継続してゆけることにもつながります。
post_strong_02

結果として、今回「東京美林倶楽部」第1期(2015年4月)の募集を1口(苗木3本)5万円で販売開始され、合計99口の販売結果となりました。さらに、お客さまと30年もの間お付き合いができることで、「東京美林倶楽部」を通じ、東京の木でつくられた「家具」や「家」なども紹介できる好機ともなると青木さんは言います。実際に「東京美林倶楽部」では、30年後育てた3本の木の内2本は間伐し、「家具」などをつくる木材としてお客さまに提供され、それが「森林体験」となりお客さまと想いも共有されます。また、残りの1本は「東京チェンソーズ」管理のもと、「環境保全」としてその後も育てられてゆくそうです。

青木さんの考える「山づくり」についてお聞きしました。

post_strong_01 「東京美林倶楽部」のような参加型の「山づくり」を行うには、ロケーションがとても大切に感じます。ここ檜原村・時坂地区は、檜原の中でも有数の観光スポットが多くある場所で、駐車場も目の前、トイレもあって飲食店もある環境が比較的整っています。森林のイベントを開催するには、すべてそこがハードルとなっていました。アクセスが困難、トイレもない、ご飯どうしようかと。それが、時坂のようなロケーションで開催できることは、「東京チェンソーズ」が考える「山づくり」において絶好の場となります。そして、せっかく良い木を育て、良い「山づくり」が行えたとしても、それを多くの人に見てもらって共感を得られなければ意味がないとも感じています。そのためにも、ここ時坂のロケーションは大切なのです。誰でも気軽にイベントに参加でき、ちょっと見に来れば自分が植えた木が確認できる。そんなロケーションであるからこそ、共感が広がる「山づくり」となります。しかも、お客さまの顔が見えているわけですから、社員のモチベーションも上がりますよね。
post_strong_02

tokyochainsaws_06

「東京美林倶楽部」の会員に配布される檜原村の木でつくられた会員証(バターナイフは配布されません)


tokyochainsaws_05

「東京美林倶楽部」に参加された親子と、「東京チェンソーズ」スタッフの吉田さん

「東京美林倶楽部」の展望として、

post_strong_01 予定では5年で1,000口販売を計画しております。第1期で合計99口ご購入いただけ、約180名のお客さまにご参加いただけました。5年間で第5期まで募集開催する計画で考えますと約1,800名のお客さまにご参加いただけるということとなります。これは「東京チェンソーズ」としてとても大きなことです。それは、「東京美林倶楽部」という活動を通じ、私たちはみなさまに木を育て使用していただくことを目標としているためです。そして、できるだけ多くの方に木を使用する環境を明示するとともに、街の中に東京の木を取り込んで行く足がかりをつくっていくことも考えます。また、伐採した木がどのように使われているのかを、ホームページやSNSより情報発信しつつ、木材生産を通じた企業連携も視野に林業の活性化につなげられたらと思います。
post_strong_02

「東京美林倶楽部」の東京に美しい森林をつくるプロジェクトに、親子で参加される姿がたくさん見受けられました。30年間の木々の成長と、子ども達の成長のつながりもまた、未来の東京の林業を支え美しい森林をつくる力の源となるのかもしれません。

tokyochainsaws_07

東京チェンソーズ
東京美林倶楽部
Facebook
Twitter
blog

関連記事