大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
monofarmから新しいものづくりの芽がたくさん育つことを目標に活動中。

記事の絞り込み

「五郎兵衛」が担ぎ届ける、東京の味「キッコーゴ醤油」
平成25年12月4日、ついに「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、いま日本人の伝統的な食文化が世界的に注目されています。そこで今回取材させていただいた「ものづくり」は、「和食」にかかすことのできない調味料のひとつ「お醤油」についてです。昔は村に1つはお醤油屋があり、土地土地に醤油の味があったようです。現在東京では一軒となってしまったお醤油の醸造所。その一軒となるお醤油ブランド、「キッコーゴ醤油」について、東京都あきる野市にある近藤醸造株式会社(以下「近藤醸造」)代表を務めます、近藤 功さん(以下「近藤さん」)にお話をうかがいました。

KJK_16

近藤醸造 3代目:近藤 功さん

まず、近藤醸造の歴史についてお聞きします。

post_strong_01 明治41年からの創業となり、今年で107年目となります。私の祖父にあたる近藤 五郎兵衛(こんどう ごろべえ)が近藤醸造の創業者であり、私で3代目です。祖父の近藤五郎兵衛は、昔この地域に「キッコー早(はや)」という醸造所があり、そこで修行していました。そして独立し現在の「キッコーゴ」に至ります。
post_strong_02

近藤醸造は、「キッコーゴ醤油」を醸造、販売されます。みなさんもよく知る大手ブランドにもある「キッコー」にはもともとどのような意味がこめられているのでしょうか。

post_strong_01 亀甲の由来は諸説あるようでして、下総国(現千葉県)亀甲山香取神宮に伝わる神鏡の亀甲紋様から「キッコー」を商標とする醤油屋が始まったという伝承や、「キッコー」を最初に使用したのは土浦藩のお抱えであった柴沼醤油が、土浦城のお堀の形状が六角形で「亀城」と呼ばれていたため土浦藩のお城の印として亀甲紋を使用しその後、江戸で亀甲紋を使う醤油屋が増えたと云う記録が残っているようです。
post_strong_02

KJK_14

亀甲紋様の中に「五」が入り、キッコーゴとなる

現在、「キッコーゴ醤油」は商標を統一し製品を販売されてます。昔は「玉光・世界・ヤマ五・亀甲五」と4種類の商標で製品ラインアップをされていたようです。麦酒と同じように、醤油にも「一番搾り」という言葉があり上級品とされ、続いて「二番搾り」や「三番搾り」等で醸造された商品も味の違いにより、別商標で販売されていました。3代目となる近藤さんが、時代の変遷と共に商標を1つに統合し、現在の「キッコーゴ醤油」とされています。

post_strong_01 現在では大小多くのブランドが広く流通しています。「キッコーゴ醤油」も、より多くの方々に知っていただきたいため商標統一し分かりやすくしました。味も現在は「一番搾り」のみとしています。
post_strong_02

KJK_04

昔は、醤油の商品名に合わせ商標が用意されていた

KJK_21

現在の「キッコーゴ醤油」の商標となる、「五郎兵衛」のキャラクター

3代目近藤さんは、「キッコーゴ醤油」に商標統一しただけではなく、他ブランドとの差別化を行います。1代目である近藤 五郎兵衛の、「五」の文字を亀甲模様に収め、そのマークをハッピを着たキャラクターに担がせたデザイン画で商標登録されました。これであれば、「キッコーゴ醤油」であることが一目瞭然となります。他に任せず、すべて近藤さんのアイデアで考えられたところに、「手造り」であることを大切にする心意気を感じます。それでは、醤油の「味」においても、土地土地で違いが出るものなのでしょうか?

post_strong_01 やはり、地域によって味の違いはありますが、現在はやや味が平均化されつつあります。その中、10月1日の「醤油の日」に開催される、「醤油の品評会」にて、一昨年になりますが日本醤油協会より東京の醤油である「キッコーゴ醤油」が「優秀賞」をいただいております。醤油の味の特徴として、日本の南、九州地方の醤油は甘みがあります。関西は薄口が好まれ、関東では濃口醤油が主流です。北陸の方では昔は関東よりも濃口となるようでしたが、今ではそんなに味に変わりはないと感じます。味に大きな変化をもたらす要素は、「湿度と気温」です。やはりその土地土地の気候条件によって、味に差が出るということは言えるのではないかと思います。土地土地のおいしい醤油が醸造できるのも、日本に素晴らしい四季があるからこそです。
post_strong_02

<ここで「キッコーゴ醤油」の醸造工程についてご紹介します!>

KJK_08

①大豆(国産)、小麦(国産)、種麹を混合します。

KJK_09

KJK_10

②①で混合された物を製麹(せいきく)します。製麹とは麴菌(こうじきん)を混ぜて麴を作ることをいいます。

KJK_07

③出来た麹と、食塩水(近藤さんの敷地内にある井戸水と天日塩を混ぜたもの)を大きな木樽で仕込、撹拌し諸味が造られます。

KJK_11

④揚槽(あげふね)により、諸味を圧搾し生醤油と粕に分けます。

KJK_13

⑤火入れ(殺菌)、検査(風味確認)を行いビン詰めされて「キッコーゴ醤油」が完成します。

東京都のなかでも、あきる野という自然に恵まれた多摩地域でつくられる「キッコーゴ醤油」。近藤さんが「醤油づくり」において大切にされている「もの・こと」についてお聞きしました。

post_strong_01 一番のこだわりは国内産の大豆・小麦、天日塩はオーストラリア産のみを使用し醸造しております。容器は軽くて丈夫なことから、ペットボトルが良く採用されますが、醤油には瓶が一番適しています。「キッコーゴ醤油」は「瓶詰め」にこだわり提供しています。そして、瓶を10円で回収しリユースも行います。昔は、店舗を構えておらず、蔵の前で醤油の量り売りをしていました。醤油が無くなれば「マイ醤油瓶」を持ってきていただき、瓶の口ギリギリまで醤油を注ぎ込み提供していた時代です。現在でも私たちは、地域・近隣の方々とのつながりを大切にしたいため、ここ近藤醸造で直売会イベントとして、「キッコーゴ醤油」をつけて焼いた煎餅を無料提供させていただいたり、「マイ醤油づくり」として「醤油・みりん・めんつゆ・酢(全て近藤醸造の製品)」を自分の好みの味に調合し「マイ醤油」として小瓶に詰めてプレゼントしています。毎回好評でして、会期に1000人以上は訪ねていただけています。
post_strong_02

さらに、近藤さんは話します。

post_strong_01 ただイベントに参加していただくだけではなく、工場見学もしていただき「醤油造りの楽しさ」を理解していただくことが「東京の醤油造り」を継続してゆくためにも大切な「ことづくり」と感じています。最近では、出前授業として月に3、4回多摩地域の小学校に出向き、醤油づくりについて説明を行います。こちらも好評いただいており今後も継続して、醤油の楽しさやおいしさを伝えてゆくことが何よりも大切なこととして取組んで行きます。通りを歩いていると、子ども達から「醤油屋のおじちゃんだ!」と言われたりと大変嬉しく感じますし、励みにもなります。
post_strong_02


KJK_19

近藤醸造の商品/左:多摩そして近藤家としても縁のある新撰組コラボキッコーゴ醤油、中央:定番のキッコーゴ丸大豆醤油、右:近藤醸造で造られる「めんつゆ」


KJK_20

「キッコーゴ醤油」の風味を活かしたお醤油屋さんのチョコレート


KJK_18

「キッコーゴ醤油」の商標となる、「五郎兵衛」キャラクターのグッズ

「キッコーゴ醤油」直営店、店内の様子 - Spherical Image - RICOH THETA

「キッコーゴ醤油」直営店舗内の様子

近藤さんに今後の展望についてお聞きしました。

post_strong_01 やはり近藤醸造は、東京に一軒の醤油屋さんであることを、東京に暮らす方々に広く知っていただきたいため、「マイ醤油」や「工場見学」などみなさんが参加、楽しみながら、「キッコーゴ醤油」を知っていただくきっかけをたくさんつくって行きたいですね。
post_strong_02

現在、東京で唯一となる醤油ブランド「キッコーゴ醤油」。商標にあるキャラクター、「五郎兵衛」が「キッコーゴ醤油」を担ぎ、伝統ある東京の「手造り醤油」のおいしさを、これからもみなさんに伝え届けてゆきます。


近藤醸造株式会社

関連記事