大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
monofarmから新しいものづくりの芽がたくさん育つことを目標に活動中。

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共感がうまれる工房、みんなの近場の地下にある「Chika-ba[ちかば]」
最近よく目にしたり、耳にしたりするようになってきた「Fab(ファブ)スペース」という言葉。もちろん和製英語ですが、広義で捉えると「ものづくりの場」となるのではないでしょうか。大量生産・大量消費社会が終焉を迎え、それに打って変わって個々の価値観が複雑に多様化しつつある中、個々の「つくりたい!」を叶えるオープンな場として今「Fab(ファブ)スペース」が注目されつつあります。

今回は、この「Fab(ファブ)スペース」にフォーカスした取材となるのですが、ご協力いただいた東京都国立市の谷保駅近くにありますFab(ファブ)スペース「Chika-ba[ちかば]」は他とは一風変わった「ものづくりの場」を皆さんに提供されています。「Chika-ba[ちかば]」のオーナーであり、東京にしがわ大学(以下「にわ大」)の学長でもあります西川 義信さん(以下「西川さん」)にお話を伺いました。

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「Chika-ba[ちかば]」のある地下へ通じる階段から見える、かわいいChika-baロゴマーク

「Chika-ba[ちかば]」が誕生したきっかけについて、

post_strong_01 初めは僕自身の願望からなのですが「木の名刺を作りたい!」と考えたことがきっかけとなりました。実際に東京の山の林業を見に行き、体験し、多摩産材と和紙の組合せで実現しないかと「TOKYO WOOD PICK」さんに相談したりと模索していました。結果としては、作れるけど採算が合わないこととなり断念せざるおえなかったのですが、このことがきっかけとなり「ものづくりは1人では完結しない」と改めて感じ、そこから「みんなでシェアできる工房が欲しい」と新たな目標が生まれました。
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「木の名刺を作りたい!」という西川さんの考えから生まれた、「みんなでシェアできる工房」。そのアイデアが「Chika-ba[ちかば]」誕生のベースとなりました。それでは、「みんなでシェアできる工房」についてもう少しお話をお聞きします。

post_strong_01 「みんなでシェアできる工房」だけではなくて、「気楽に人が集える場所」となることを理想としていました。その想いをfacebookでつぶやいていたところ、ある時「おへそキッチン」さんから提案がありました。その提案は、工房という機能だけではなく「地場野菜等を使用した食の製造現場」+「木と革などのものづくり工房」が一緒になるFab(ファブ)スペースとなる提案でした。当初、どんな感じになるか想像がつきませんでしたが、「Chika-ba[ちかば]」を誕生させてみての感想は、多摩地域である国立市の「農業としての生産地」+「都市部であること」の良い一面が出たと感じています。
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生木のぬくもりが感じられる、「Chika-ba[ちかば]」の工房

「Chika-ba[ちかば]」で今いくつか動いてる活動として、Fab設備(レーザーカッターなど)の時間貸や、教育の場として「子供達に教えたいこと」を企画しイベント空間としてレンタルもされています。「Chika-ba[ちかば]」で定期的に開催されている『子どものための「レゴ・マインドストーム」』に私も参加させていただきました。イベントのファシリテーターとして「Chika-ba[ちかば]」工房長であり、GIFT10 industry代表でもある濱田 隆史工房長(以下「濱田さん」)が担当されます。

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『子どものための「レゴ・マインドストーム」』の準備を行う、濱田さん

この場では、ただ単に「レゴ」を組み立て、任意なプログラムに応じて動かし遊ぶだけではなく、どうしたら早く上手に組み立てられるか、どのように作業を分担して目標をクリアするのかをチーム制でこなしてゆきます。ものづくりにおいて大切な「人と人とのコミュニケーション力」を育む場でもありました。このように「Chika-ba[ちかば]」は工房だけではない、「人と人とが気軽につながり集える場」として誕生しています。

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ステップ1:レゴを組み上げていきます

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ステップ2:レゴを動かすためのプログラムを、パソコンで組み立てレゴに送信します

ステップ3:レゴを動かし思い通りに動くかを確かめます

もうひとつの特徴として「キッチン」があることが他と異なる大きな特徴となります。

post_strong_01 最近では、健常者と視覚障害者の方々が共に遊べるボードゲーム(濱田さん企画・制作)を楽しむイベントを通じ、バンドのライブ演奏を聴き、食をも堪能できる場を設けることができました。そこには「Chika-ba[ちかば]」が誕生したきっかけとなる「おへそキッチン」さんとのコラボレーションにより実現した取組となります。時には「おへそキッチン」さんによる地場野菜を使用した「まちの商品開発」が行われたりもしています。こういった取組が推進されている大きな「もの・こと」として、近隣の方々の協力が大きいと感じています。例えば、地場で採れる野菜をもってきていただけたり、ものづくりにおいて匠の技を持つ方が多くいらっしゃり協力してくださったりします。これまでくにたちに住んでいながら、自分の住む街のことをあまり知らなかったことを改めて感じました。いまでは、会社帰りに「Chika-ba[ちかば]」を訪ねると、子供たちが遊び「お帰り」と迎えてくれて、一緒に夕ご飯を食べるといった大きな家族のような関係がこの場で生まれつつあります。ここ「キッチン」のある「Chika-ba[ちかば]」では薄く広くではない、そこそこの人間関係が形成されてゆく場だと感じます。家族や親戚のような関係ができてゆけばいいと思います。
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ワークショップが開催される工房の奥が、「Chika-ba[ちかば]」のキッチンとなります

「Chika-ba[ちかば]」で形成される「ものづくりイメージ」についてお聞きしました。

post_strong_01 「Chika-ba[ちかば]」は、まちのものづくりのコミュニティスペースとして拠点となる場所となればと感じています。「ものづくり」は「Chika-ba[ちかば]」だけでは完結できないと考えます。そのため「Chika-ba[ちかば]」つながりでの「ものづくりネットワーク」が確立しつつあります。この、「ものづくりネットワーク」がとても大切と感じています。それは、「ものづくり」において足りない部分を相互に補完しながら「まちの商品開発」が行える環境が整うこととなると思います。人のネットワークは財産ですし、気兼ねなく立ち寄れる場所と、人とのつながりが形成されてゆく場がつくれることはとてもうれしいです。そこが一番大切だと思うんです。
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「Chika-ba[ちかば]」は2014年7月13日よりオープンし、約5ヶ月(2014年12月現在)が経ちます。これからの「Chika-ba[ちかば]」の目標として、

post_strong_01 ここくにたち「Chika-ba[ちかば]」ならではの商品がでてきたらいいなと思っています。いま「まちの商品開発室」というプロジェクトを立ち上げていて、この取組から地域発祥のもの(商品)が作ることができればと思います。にわ大の授業づくりと同じようなスタンスではあるのですが、みんなにウケるものを作る必要はなくて、誰かに「これいいな!」と思ってもらえるものが自分たちの手の中のものづくりだと思っています。それって誰かに響くと思っているんです。こだわりをもったりとか、地域の特色、その人の特色であったりするものが「ものづくり」として行ってゆけたらと考えます。
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と西川さんは話します。さらに「Chika-ba[ちかば]」を多様な方々に工房長として利用してもらいたいと続けます。

post_strong_01 ものづくり拠点や活動場所がほしい人。 コミュニティを運営してみたい人。 人と人をつなぐのが好きな人。教えるのが好きな人。なにか実験してみたい人。 商品づくりや試作を重ねたり、革細工や編み物、フラワーアレンジメントなどワークショップを開いたり、食と音楽と交流、製品発表会などイベントを催したり、「つくる」と「コミュニティ」をキーワードに、みなさんに工房長として自由に活用してもらいたいです。 post_strong_02

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画像左:濱田さん、画像右:西川さん

私たちの近くの場所に、このような気軽に立ち寄れる「ものづくり」スペースがあることって素敵ですよね。これからも、みんなの近場の地下にある「Chika-ba[ちかば]」からつながり、また広がりつつあります。


「Chika-ba[ちかば]」ホームページ
「Chika-ba[ちかば]」facebook
「おへそキッチン」facebook
「GIFT10 industry」ホームページ
「GIFT10 industry」facebook

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