大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
monofarmから新しいものづくりの芽がたくさん育つことを目標に活動中。

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地域とともに歩み育む、「studio-L」のコミュニティデザイン
コミュニティデザインと聞いて、皆さんはどのようなことをイメージしますか?今回取材した方々は、コミュニティデザインを実践している集団「studio-L」のメンバーです。コミュニティデザインにおける「ひと・こと・もの」とは一体どのようなものなのでしょうか。
東京都立川市にある「立川市子ども未来センター」の指定管理として活動している「studio-L」の洪 華奈(ほん ふぁな)さん(以下、洪さん)と、落合 祥子(おちあい しょうこ)さん(以下、落合さん)にお話を伺いました。

洪さんは、studio-Lの関東エリアのプロジェクトスタッフとして、落合さんは洪さんと共に「立川市子ども未来センター(以下、子ども未来センター)」の市民活動コーディネーターとして活動しています。

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立川市子ども未来センター

それではstudio-Lが取組むコミュニティデザインについてお話をお聞きしていきます。

post_strong_01 コミュニティデザインとはあくまでも手法・仕組みであるため、それをどのような「こと」に落とし込んでいくのかが重要であると感じています。もともと、studio-Lの代表(山崎 亮さん)がランドスケープデザイナーであり、公園の設計等を手がけていたのですが、「本当に市民が使い続けたいと思える公園づくりができているのだろうか?」という疑問を感じていたようです。そこから派生した活動が、パークマネジメントという取組みでした。結果としてこの取組みでは、公園の近隣に暮らす方々で構成される市民団体により、市民が主体となって楽しみながら公園を運営していける仕組みをつくることとなりました。このような「市民参加によるまちづくり」の仕組みをつくることが、現在では地域行政の方と共に「まちづくり計画」を取組むきっかけにもつながっています。
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このように、「市民参加によるまちづくり」を進める手法・仕組みとしてコミュニティデザインが取り入れられる背景には、行政と市民との関係が「企業とお客様」との関係に似てきてしまったことがあるようです。今日では、本来あるべき姿として「自分たちの住むまちは、自分たちでつくろう!」という考えが広がりつつあるのだとか。

コミュニティデザインから生まれた一つのカタチとして、子ども未来センターにおける市民活動支援の取組みがあります。さて、それは一体どのような「こと・もの」なのでしょうか。

post_strong_01 子ども未来センターの機能の一つに「にぎわい創出」があります。私たちstudio-Lにとって、この「にぎわい」には地域の方々が継続して楽しめる施設でありたいという想いが込められており、そのサポート役でstudio-Lのメンバーが市民活動コーディネーターとして常駐し、活動しています。それは、私たちが大きなイベントを企画し市民を集めるような一過性のものではありません。市民自身が主体となり企画したプログラムにより市民を集めるような、継続的ににぎわいを創出できるよう市民の方々をサポートしていく活動です。
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さまざまな世代が楽しめるマンガがそろっている「立川まんがぱーく」

市民活動コーディネーターとしての取組みは、大きなイベントによるにぎわいと比べ、目に見える効果を説明しにくいようにも感じます。子ども未来センターがオープンするにあたり、市民活動コーディネーターの導入についてはどのような反応があったのでしょうか。

post_strong_01 確かに子ども未来センターがオープンするまで行政をはじめ関係者の方々には、継続的なにぎわい創出のカギとなる「市民が市民を呼ぶ仕組みづくり」について、説明が難しい部分がありました。そのため、オープンする前から立川市で活動する市民団体の方々を訪ねてお話を伺い、ネットワークづくりを進めていきました。その様子を見ていただくことで、理解につながっていったのだと感じています。なにより、立川市や市民の方々が新しい「ひと・こと・もの」を柔軟に受け入れてくださったおかげですね。
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ちなみに、落合さんも、立川市で活動する市民団体の一人だったのだそうです。

post_strong_01 今私たちがいる「協働事務室」という部屋は、市民団体が打合せやプログラムの準備、また他団体との交流のために利用できる場です。一度登録すれば開館中はいつでも利用できるシェアオフィスのような場所なので、市民団体同士が顔見知りとなり化学変化が起こりやすい環境になっています。私たちは協働事務室に常駐しながら、市民団体の相談役となったり、市民団体が実施するプログラムのサポートを行ったりしています。また登録団体を対象とした懇親会を定期的に開き、団体同士を引き合わせるきっかけをつくることもあります。
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市民活動コーディネーターが毎月作成しているプログラムカレンダー。
協働事務室の登録団体がセンターで実施するプログラムの情報が掲載されている

post_strong_01 今ではおよそ60近くの市民団体が子ども未来センターに登録しています。はじめから登録を目的に訪れる市民団体もありますし、すでに登録している市民団体が企画したプログラムに参加し、それを機に登録された市民団体もあります。少しずつ新たなつながりが生まれ、子ども未来センターを拠点に活動する市民団体が増えてきています。
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最近では市民団体同士が協働して新たなプログラムを生み出すケースも出てきているのだそうです。それはまさに、継続的なにぎわい創出の好例ではないでしょうか。市民団体たちの間にある市民活動コーディネーターの存在が、このようなつながりを生み出しているのだと思われます。

市民団体の活動拠点となっている協働事務室は、建設計画を立てる段階からstudio-Lが関わり、このようなシェアオフィスとなる空間の必要性を明示したことで設置が実現したのだそうです。また子ども未来センターにおける活動のコンセプトは、オープンする前に接点を持った市民団体が参加するワークショップを通じて決まったのだとか。この取組みも、継続した市民参画を目指す上で大切な要素だったのではないでしょうか。

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出処:リーフレット「市民活動支援について -コミュニティプログラムサポート-」

市民団体の取組みは、子ども未来センターのオープン当時と現在とで少し印象の違いがあるそうです。

post_strong_01 オープン当時は、自分たちの活動ができれば良しと考える方が多かったのですが、現在では他団体とつながり、一緒に活動することで活動の幅が広がり、協働することの面白さを知っている方が増えてきたように感じています。
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そこには、立川市の公共施設でありながら市外の市民団体でも活動することができ、常に新しい風が吹き込んでくる環境となっていることが大きく影響しているのかもしれません。団体同士が常に尊重し合い、フラットな関係でつながっていける環境があるからこその効果ですね。今では子ども未来センターに留まらず、まちへと広がった取組みが少しずつ生まれているのだとか。

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協働事務室に登録している市民団体の皆さんにより「夏のたのしみ方」をテーマにした
20のプログラムが実施されたイベント「さんさんガーデン」

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芝生広場で開かれるフリーLIVEイベント「オトナリ」。
ライブの後は、まちの飲食店で特典を受けることができる。次回は12月3日(水)19時〜

最後に、子ども未来センターにおける市民活動コーディネーターとして活動の今後の展望を尋ねてみました。

post_strong_01 最終的には市民の皆さんだけでにぎわい創出していけるようになることを目標としています。そのため、私たち市民活動コーディネーターがいなくなっても大丈夫な状態にするための仕組みを、少しずつ、しっかりと築いていきたいです。
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「studio-L」洪さん(写真左側)と、落合さん(写真右側)

「私たちがいなくなることが目標」という展望がとても斬新であり、それがstudio-Lのコミュニティデザインであると感じます。市民が楽しみながら継続的にまちづくりに取り組める仕組みをつくる。そこをゴールとするコミュニティデザイン。

それはどこか、子が育ち自立してゆく親の気持ちに相通ずる感覚があるのかもしれません。地域が自分たち自身でまちを養い自立できるまで、これからもstudio-Lは地域と共に歩み続けます。



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立川市子ども未来センター

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