大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
monofarmから新しいものづくりの芽がたくさん育つことを目標に活動中。

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「子育て」を楽しみ、「自分らしく働く」ことを応援する、「NPO法人シーズネットワーク」
『子育てを楽しみたい、自分らしく働きたい、
暮らしやすい「まち」を創りたい・・・そんなあなたを応援します』

このスローガンを掲げご活躍されている「NPO法人シーズネットワーク」理事長の岡本 光子さん(以下「岡本さん」)にお話をお聞きしました。インタビューでお伺いした場所は、多摩市永山のショッピングモール「グリナード永山」1Fにある「Ponte(ポンテ)」というお店となります。「Ponte」はNPO法人シーズネットワークが運営する店舗で、地元東京都多摩市と多摩市の友好都市である長野県富士見町の特産品の販売や観光PRを行っています。今回、岡本さんに冒頭にありますスローガンを実践する「NPO法人シーズネットワーク」の取組みについてお伺いしました。

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「NPO法人シーズネットワーク」理事長、岡本 光子さん

岡本さんがNPO法人シーズネットワークを立ち上げるきっかけとなったのは、「子育てサークル」を立ち上げた事でした。

post_strong_01 夫の転勤でここ多摩市に移り住んできた当時は、知り合いが誰もいない地域で子育てをすることに不安を感じていました。子どもは生後5ヶ月の頃です。そして子どもが1歳の頃、地元の知り合いと「子育てサークル」を立ち上げました。1年間の活動を通じて感じた事は、全てが子どもとセットであるということです。私は○○ちゃんのママであり、子ども中心の「こと・もの」で進んで行く会合でありました。私はママであると同時に、一人の未来ある女性でもあるし、このまま子どもが主役で私は子どもの付属品となり続けることがとても寂しいと感じていたんです。その時、多摩市が「子育て便利帳をつくろう」という冊子づくり活動ができる講座の参加者を募集していて、早速この講座に参加しました。参加してみたら、情報集めて発信するとか、取材に行く事がとても楽しく、この講座で意気投合した方と「子育てしながら私達と同じ境遇の女性が活躍できるサークル活動をしよう!」ということになり、NPO法人シーズネットワークの前身となる任意団体『Seeds』をたちあげることとなりました。
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任意団体『Seeds』は、「働きたいけどフルタイムでは働けない。子育ては大切。でも私自身やりたいことがたくさんある。」そういった想いを抱える女性達にワークショップや講座、交流会などを通じ、「女性の社会参画支援」する場として活動を始めます。

post_strong_01 子育て中の女性達が安心してワークショップやセミナーに参加してもらえるよう、一時保育付きの講座を開催しました。そこには保育スタッフが必要となりますが、『Seeds』のネットワークで保育スタッフチームをつくることができました。責任を持って子どもを預かれるよう、健康チェックカード記入などのルールを作り、保育スタッフには謝礼を支払いました。そこから、行政等が子育て中の女性達に向けたセミナーを行う際に『Seeds』が一時保育の委託先にもなり、また『Seeds』のネットワークを活用した子育て世代の方達へのモニタリング・アンケート調査の依頼も受けるようになりました。こういったつながりから、私達の活躍の場となる事業の芽が出て来た感じです。 post_strong_02

任意団体『Seeds』の立ち上げが2000年9月であり、その当初は「子育て支援」や「女性の社会参画支援」を実践している団体は少なく、岡本さんの呼びかけに対し、多くの子育て世代の女性達が呼応しました。

post_strong_01 任意団体『Seeds』の時は、一時保育サービスとして企業・行政に見積もり提示した際、「え!お金取るの?」といった感じでした。無料で来てくれるものだと思われていたことがまだまだ多かったですね。私達は、お子様の命を預かる事を気軽にはお受けしたくないですし、きっちりと責任あるお仕事としたかったので。
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責任あることを、無料で引き受け、スタッフの交通費さえ自腹で賄う事は、継続はおろか自分たちの生活をも犠牲とすることになります。やはりそこには責任ある最低限の費用は発生して然るべきです。そして、2006年1月に「NPO法人シーズネットワーク」を設立され、「子育て支援」「女性の社会参画支援」に加え、「まちづくり」を活動内容として掲げることとなります。「まちづくり」の大きなきっかけとなったことが、多摩センター地区連絡協議会主催の「ガーデンシティ多摩センターこどもまつり」や「ハロウィンin多摩センター」等のこどもが楽しめるイベントを企画運営に関わった事でした。

post_strong_01 前身の任意団体『Seeds』での、「子育て支援」そして「女性の社会参画支援」の活動を通じ、子育て世代の女性達がイキイキと活躍でき、またその活動を通じ自分たちが暮らす街が豊かで住みやすい街になる「まちづくり」を行ってゆく。そういったサイクルを実現することを目標とし実践して行く団体として「NPO法人シーズネットワーク」を設立するにいたりました。 post_strong_02

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広報紙『シーズレター』を年4回発行

子どもにとっても、自分のお母さんが岡本さんのようにいつも笑顔で、明るくいてくれることが一番大切であるように感じます。お母さん達の笑顔が溢れる街を「NPO法人シーズネットワーク」はめざし活動します。

post_strong_01 今年度からは「子育て支援」として、多摩市立子育て総合センターたまっこの「子育てひろば」や「リフレッシュ一時保育」の事業を多摩市から受託運営しています。これは、「認定NPO法人多摩子ども劇場」さんと「NPO法人シーズネットワーク」での協同事業となっています。 post_strong_02

「子育てひろば」や「リフレッシュ一時保育」事業の受託事業者決定は、民間企業を含めたコンペティション形式であったようです。「NPO法人シーズネットワーク」だけでは事業規模が大きすぎるため、地元で先駆けて幅広く活動されている「認定NPO法人多摩子ども劇場」さんとの協同事業としたことが、多摩市より受託できた大きな要因と岡本さんは話します。

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「多摩センターこどもまつり2014」の会場で開催された、赤ちゃんや幼児がいる家庭の防災啓発プロジェクトABo(アボ)の開催報告

post_strong_01 そしてもう一つの新たな「子育て支援」の取組みとして「ABo(アボ)」があります。「ABo(アボ)」は、「赤ちゃんや幼児がいる家庭の防災啓発プロジェクト」の「赤ちゃん」と「防災」の頭文字を取って「ABo(アボ)」なんです。かわいいでしょ(笑)!子どもも楽しめるイベント形式で開催しています。3日間で約1,000人もの親子の方々に参加していただけました。 post_strong_02

活動のひとつとして、「多摩センターこどもまつり2014」の会場で「ゲームで楽しく防災体験」というコーナーを開催したときには、3日間で約1,000人の参加者を集客運営されていることにおどろきです。

post_strong_01 「女性の社会参画支援」としては、「Beans(ビーンズ)プロジェクト」を推進しています。プロジェクトメンバーである子育て中の女性達が集い、自分たちがやりたいイベントや講座の企画や運営を行うプロジェクトとなります。公民館などの市の施設で行うイベントを企画し、「NPO法人シーズネットワーク」として申請し開催されます。もちろん保育付きです。「Beans(ビーンズ)プロジェクト」のように自分たちで自分たちの活躍の場を見いだす取組みや、実際に報酬を得てイベント運営や各種案件での推進スタッフとして活躍できる場をシーズネットワークメンバーに向け情報発信・提供させていただいています。 post_strong_02

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「エンジョイ!あなたと私、再発見!!」Beans(ビーンズ)プロジェクトが企画・運営を行うイベント

このような「子育て支援」、「女性の社会参画支援」が「NPO法人シーズネットワーク」より活性化されています。そしてその先にある「まちづくり」の1つの活動として、今回の取材場所となる「Ponte」があります。

post_strong_01 「Ponte」出店経緯は、グリナード永山を所有している企業からから、「地域とのつながりのある店舗を出展したい」とのことでお話をいただいたのがきっかけです。以前から多摩センター活性化の取組みから、多摩市との友好都市である長野県富士見町とのつながりがあったこともあり、企業のご担当者と相談の上、「多摩市と富士見町の共同アンテナショップ」の企画をつくり、市や町に企画提案し採用していただき「Ponte」が出店となりました。
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東京都多摩市&長野県富士見町 共同アンテナショップ「Ponte」(グリナード永山 1F)

「Ponte」で働く女性スタッフの雇用は、もちろんシーズネットワークメンバー内での募集もされましたが、国の緊急雇用政策の一環である補助金を活用した事業であったため、ハローワーク等でも広く求人案内を出されました。「NPO法人シーズネットワーク」として、より広く地域への「女性の社会参画支援」となった初めての試みとなりました。このことについて岡本さんは、

post_strong_01 「NPO法人シーズネットワーク」としては、かなりチャレンジングな事でした。ただ、これまでより広いフィールドで活動することにもなったのでとても嬉しく感じています。
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「Ponte」は「多摩市と富士見町の共同アンテナショップ」となるため、多摩の地場野菜や、多摩市や富士見町の特産品が店頭を彩ります。なかでも、多摩の農家さんと友好な関係が育ちつつあり、率先して「Ponte」の店頭に置いて欲しいと言っていただけたりするようです。また、農家さんにとっては珍しい野菜を販売する際のトライアルの場ともなるため、「地域活性化」が促進され、まさしくアンテナショップとして機能されます。また、商品を販売するだけのアンテナショップではなく、人と人とのコミュニケーションが生まれることも、また1つの「Ponte」ならではの特徴となります。

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「Ponte」店頭に並ぶ、多摩の地場野菜

post_strong_01 近隣にある「永山団地」は2011年に40周年を迎えており、一人暮らしのご高齢も多くいらっしゃいます。ご高齢でありながら、毎日の食事を自炊されていらっしゃるため、料理レシピを買い物ついでにスタッフに聞いたり、逆にスタッフがお客さまのお酒の購買ペース等から健康を気遣ったりしています。そこからまた、新たなコミュニケーションが生まれ豊かな「まちつくり」の実践躬行の場ともなっています。
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多摩と富士見町の特産品が並ぶ店内


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人気の高いロングセラー商品「風立ちぬトマトジュース」


<作家・堀辰雄の小説「風立ちぬ」より生まれた、「風立ちぬトマトジュース」>
多摩市の友好都市である長野県富士見町は、明治期よりその自然に恵まれた環境に魅かれて多くの文人たちが来遊し、富士見高原を題材とした小説、詩歌、俳句などが数多く生まれました。
小説「風立ちぬ」もその中のひとつ。作家・堀辰雄は、婚約者である矢野綾子の結核療養の付き添いのため、富士見高原療養所に滞在していましたが、約5か月後に綾子は死去。その療養生活を元に書かれたのが「風立ちぬ」なのです。
富士見町にある「高原のミュージアム」には、堀辰雄を含む、富士見町にゆかりのある文人たちにまつわる貴重な資料が多数展示されており、その足跡をたどることができます。

「風立ちぬトマトジュース」は、1990年に富士見町の特産品として開発され、現在まで人気の高いロングセラー商品です。開発当時、町役場の職員が、軽井沢町に住む堀辰雄の妻・多恵子さんに直接会い、承諾を得て商標登録しました。


このように、「NPO法人シーズネットワーク」は多摩の多様な方々とのつながりより形成されます。「シーズネットワーク」への関わり方に温度差はあるようですが、この温度差に併せた活躍の場を見いだし、無理なくつながってゆけるものであることが、継続して行くための大切な事と岡本さんは言います。いつでも好きなときにつながれて、またいつでも新たなフィールドに活躍の場を移せる柔軟さが「NPO法人シーズネットワーク」のコミュニティにはあります。そして、これからの暮らしを真に豊かにする「ひと・こと・ものづくり」として岡本さんはこのように話されます。

post_strong_01 私達は「ひとづくり」ならぬ「ひとを活かす」ことが大切だと感じています。自分にできない事はサポートして欲しいし、自分ができる事はサポートしてあげられるような関係がもっとフランクにきどらないでできるコミュニティや社会にしてゆくことが大切だと感じています。「ひとを活かす」ことで「こと」から「もの」が生まれ、豊かな「まちづくり」となってゆくことと思います。
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「NPO法人シーズネットワーク」の今後の展望として、岡本さんは笑顔で応えます。

post_strong_01 地元大学、特に女子大学生たちとの連携など、新たな取組みを模索してゆきたいです。多摩地域の未来をこれからの世代と考えて行ける場となれば、また新しいコミュニティのカタチが見えてくるかもしれません。そこに、期待をしています。
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産学官連携の「多摩市の手みやげプロジェクト」より、多摩市をPRするための新たな手みやげとして、多摩市産の桜の塩漬けをあしらったスペイン発祥のお菓子「桜ぽるぼろん」が誕生しました。この販売元は「NPO法人シーズネットワーク」であり、開発段階より携わっております。口の中で溶けないうちに『ぽるぼろん ぽるぼろん ぽるぼろん』と3回唱えると、『幸せが訪れる』と言われます。

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「桜ぽるぼろん」(産学官連携の「多摩市の手みやげプロジェクト」より誕生したお菓子)

幸せが生まれる場所「NPO法人シーズネットワーク」より、皆様に多くの幸せが訪れることを願いつつ、これからも岡本さんは「子育て」を楽しみ、「自分らしく働く」ことを応援してゆきます。


特定非営利活動法人シーズネットワーク
東京都多摩市&長野県富士見町 共同アンテナショップ「Ponte」

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