Takeshi Yamazaki
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東京都八王子市にある「日蓮宗 松栄山了法寺」は
なぜ萌えキャラの看板を設置したのか?
東京都八王子市にある日蓮宗 松栄山了法寺さん(以下、了法寺さん)には、他の寺社仏閣にはないものが入り口近くにあります。


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日蓮宗 松栄山了法寺の“萌えキャラの看板”


そうなんです。萌えキャラの看板が設置してあるのです。テレビでの情報番組でも紹介され、いまは了法寺のオリジナル萌えキャラグッズなども販売されています。ではなぜ、了法寺さんは萌えキャラの看板を設置したのか?お話しをお伺いするのは、住職の中里日孝さんと了法寺の萌えキャラなどの管理・制作などをされている株式会社八福 取締役室井篤志さんです。


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日蓮宗 松栄山了法寺 境内(左) 本堂(右)


了法寺さんの歴史を訪ねたところ


post_strong_01 当山の開祖は啓運日澄上人で、延徳元年(1489年戦国時代)に隠居する寺として開山されたと伝えられています。その後、延徳二年(1491年)に、元八王子に改めて開かれ安土桃山時代の天正十八年(1590年)にこの八王子市日吉町に転寺いたしました。現在の建物は40年前に建てられたものになります。江戸時代には、甲州街道の宿場である八王子を拠点に江戸を守るというところで八王子千人同心が組織されて、ここは徳川の直轄領でした。
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了法寺さんも含めて江戸時代以前の寺社は地域のコミュニティの中核を担っており、何かあると地域の寺社に地域のみなさんが集まるようなところだったそうです。


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日蓮宗松栄山了法寺 住職 中里日孝さん


post_strong_01 明治時代になると廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)によって、寺などの仏教施設が様々な弾圧を受けることになり、地域のみなさんと離れてしまうことになったと思います。
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戦後になると様々な要因から、寺社仏閣から一般のみなさんが離れていくことになったそうです。


post_strong_01 世代が変わりますとなかなか次の世代のみなさんに来てもらえなくなってしまう。どうしたらいいかと考えていました。
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いまは足を運んでいただけるのが檀家さんや一般のみなさんは葬儀や法要のときぐらいになり、ほとんどの寺院は誰でも入って構わないということですが、入りづらいとか入ることもないといったところもあるといいます。


post_strong_01 寺の使命としてお釈迦様の教えをみなさんに伝えなくてはいけない。お釈迦様の教えはみんなを幸せにするものであるのですが、これまでその教えをみなさんに伝えたという実感はあまりありませんでした。
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これまでは了法寺さんの檀家さんや葬儀や法要のときぐらいしか、みなさんにお釈迦様の教えを伝える機会があまりなかったからだそうです。
お寺に足を運んでもらう=お釈迦様の教えをみなさんに伝えるにはどうしたらいいか、特に地域のお子さんでも気軽に入ってこられるような物を作りたいと思っていて、了法寺さんの入口になにかそういった看板を設置すればと考えていたそうです。


post_strong_01 檀家さんのお一人の中のお孫さんに、株式会社八福の三井さんという方がいてその話をしたところ、のちにこういったイラストの看板はどうですかと持ってきたのが萌えキャラのイラストでした。初めて見たときは思わず固まってしまいました(笑)。
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こうして紹介されたのが、イラストや声優や歌をなどの活動を行っている「とろ美さん」です。2009年3月のことになります。


post_strong_01 萌えキャラ看板を設置するにあたって、檀家さんや周りから反対されると心配をしていたのですが、一人の反対もありませんでした。
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一人でも反対の意見があれば設置を諦めようと思ったと言いますが、みなさんの反響は“かわいい”とか“住職がやるならば”といった意見だったそうです。


post_strong_01 檀家さんや周りの方が、萌えキャラとか秋葉系とかの先入観がなかったと思います。これであれよあれよという間に、看板の話しが出てから三か月後の5月16日に設置になりました。設置されたのを見て、看板が立ってしまったというのが実感でした。 post_strong_02


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こんな痛車もあります


日蓮宗の法華経は明るい教えだそうです。世のため人のための教えだそうですが、お釈迦様が修行に入ろうとするときは明るい情熱を持って入られ、真理の探究の中でそれを教えてくれる方たちが現れると、喜んで仕えてそして苦行にはいったといいます。


post_strong_01 萌えキャラ看板を設置できる=お寺に足を運んでもらえてお釈迦様の教えをみなさんに伝えられると思い、はじめて明るい情熱を持って取り組めました。
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境内にはこのような萌えキャラ看板もあります。


萌えキャラ看板を設置してからしばらくたつと、ぽつりとぽつりと見学する方がいらっしゃったり、マスコミから取材がくるようになったといいます。
日本のみならず世界中から若い方を中心にお寺に来ていただくようになり、来ていただいた方からグッズなどの要望があがり、多くのグッズやホームページの作成も行ったそうです。


そして来て頂いた方になにかを返さないといけないという思いから、2009年の11月に行われた八王子いちょう祭りのときにイベント参加として境内でメイドカフェを開いたそうです。


もちろん、最初に考えていた地域のお子さんも境内に気軽に入ってくれるようになったといいます。


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萌えキャラの絵馬(左) グッズの自動販売機もあります(右)



post_strong_01 看板を設置する前は若い人たちは既成仏教などには興味がないのではと思っていましたが、若い方を中心に様々なかたがお寺に足を運んでくるようになり、中には質問をしてくる方もいらっしゃいます。
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萌えキャラの看板を設置し、お寺に足を運んでもらえるといったことがどんどん進んだそうです。
そのほかに、3年ほど前から月2回本堂でヨガ教室も開いているそうです。これもお寺に足を運んでもらうことに一つとなっているそうです。
もちろんお寺で行っている通常の行事も行っています。


post_strong_01 東日本大震災以降はあまりイベントを行ってはいませんでしたが、持ち込みの企画で今年の5月にはコスプレの撮影イベントを本堂で行いました。イベントに参加されたには御祈願を受けて頂いて、イベントに参加されたみなさんから喜ばれました。また今年の11月に開催される八王子いちょう祭りでは、2010年に「とろ弁天像」を奉納して頂いたフィギュア原型師の宮川武さんの展覧会を行う予定です。
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この宮川武さんはフィギュアの世界では有名な人物で、大学では仏教美術を専攻し「とろ弁天像」はフィギュアというよりも仏像を意識して造形したそうです。今後もよりお寺に足を運ぶ方も増えることでしょう。


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宮川武さんの「とろ弁天像」(左) 本堂にあるモデルになった「新護弁財天像」(右)


萌えキャラの看板を設置して、より多くの方がお寺に足を運んでもらえるようになり、今後もこの取り組みを了法寺さんは継続していくそうです。最初は何気ない思いから、周りの意識が変わりご自身の意識まで変わっていかれたそうです。
了法寺さんの“萌えキャラ”を起用してコミュニティの輪を広げていくことが、様々な場所で行われ多くの思いが結実していくことを期待します。

日蓮宗 松栄山了法寺 ホームページ

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