大木 祐二
monofarm編集室
編集長
mononfarmウェブマガジン編集長を務め、monofarmの発起人でもあります。
未来のものづくりはどういった「コト」や「モノ」であるのかを通じて、みなさんとのつながりを求めてウェブマガジンを立ち上げました。
monofarmから新しいものづくりの芽がたくさん育つことを目標に活動中。

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調布宿場町商店街(仮称)とともに歩み学ぶ、「うつわ和季」のおもてなし。
旧甲州街道沿いに調布市の歴史ある商店街(以下「調布商店街」)があります。昔は宿場町として栄え、沢山の人が往来した活気ある土地柄です。調布駅北口出口より、徒歩約3分にある「うつわ和季(かずき)」店長の田中和己(たなか かずみ)さん(以下「田中さん」)に、「調布商店街の取組み」ついてお話をうかがえました。

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「うつわ和季」店長、田中和己(たなか かずみ)さん

「うつわ和季」として屋号を変えリニューアルオープンしたのは1999年となります。もともとは、陶器専門店であり2代目として田中さんはお店を継いでおりますが、時代の変遷とともに、陶器だけではなくお箸や、日本手ぬぐい、ランチョンマット、コースター等の和雑貨も取り揃え営まれています。「うつわ和季」という店名につきまして、

post_strong_01 ある朝、起きた時に「うつわ“かずき”」という屋号が頭の中に浮かんで来たんです。それが新屋号「うつわ和季」となるきっかけなんです。
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と田中さんは言います。はじめは、「和器」にしようと思ったらしいのですが、それではひねりが無いとの事で、「和季」としたようです。後に和雑貨を扱うようになり、季節に応じた品が店頭を彩ることとなりました。偶然にも、新屋号を「和季」としたことが功を奏します。中でも、「うつわ和季」ならでは、そして「調布」ならではともなるアイテムとして、「調布てぬぐい」があります。この「調布てぬぐい」にデザインされたモチーフは調布に馴染み深い、歴史的建造物や風物詩が図案化され印刷されています。調布には、図案化しやすい「もの・こと」がたくさん残っており、調布商店街のお土物として調布の街の良さを持ち帰ってもらうために、「調布てぬぐい」は誕生しました。その後、調布で活動されている「てづくり倶楽部 おたすけママ」の協力のもと、アロハシャツ、子どもの甚平、鯉(こい)口シャツ(ダボシャツ)の販売もされています。

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調布てぬぐい

この「調布手拭い」のデザインもさることながら、手拭いのパッケージとして巻かれた和紙には、店長直筆での「調布てぬぐい」の文字と、その裏面に調布の街の見どころをまとめた「調布散策マップ」が印刷されています。しかも、文庫本のブックカバーとしても利用できる優れものとなります。

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調布てぬぐいのパッケージ(裏面に調布の街の散策マップが印刷されています。)


post_strong_01 この「調布てぬぐい」を企画するにあたり、知り合いのデザイナーが「想い」をくんでもらえた結果、このような素敵なデザインにしていただけました。別に私が「こうしてほしい」といった訳ではないのですが、デザイナーは彼なりに租借し表現していただけたことに感謝しています。
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このように地域に暮らすかたがたで、連携した取組みとなるからこそ、そこには人を惹き付ける「もの・こと」が生まれる大きな原動力となるようです。 そしていま、調布中心市街地の商店街は「9つの商店会」で形成されていますが、この「9つ」がいま力を合わせ一つの大きな流れになろうとしています。そのきっかけとなったものが「調布まちゼミ」の取組みです。

post_strong_01 はじめは、3商店会で連携し「調布まちゼミ」の取組みに賛同し28講座での開催でしたが、2回目の開催(11月予定)は参加店が増えることとなるようです。この取組みは市や商店会に「まちつくりコンサルタント」の方に来ていただいた事により実現した、商店街の活性化において素晴らしい取組みだと感じています。
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商店会の方々がこの「まちゼミ」を通じて、多くの方々と知り合うきっかけとなり、そして店長が日々普通にこなしていた事が、私たちにとっては新鮮な「もの・こと」であったりと、「調布まちゼミ」に参加して気づいた新たな発見があったといいます。

<ここで「調布まちゼミ」についてご紹介させていただきます。>
「調布まちゼミ」の開催目標は、商店街の皆様から、専門店ならではの「知識やコツ」をお客様に無料でお伝えすることで、お客様との交流を深め、お得意さんを増やすことを目的とする取組みとなります。この「調布まちゼミ」の場では、販売につながる行為は一切行わない事が大前提となります。あくまでも、商店街を利用されていないお客様との「交流を深める」場となるようです。確かに、イベント参加してみたら最後には結局「お店やメーカーの販売活動なのね」と、とても良い取組みでも一気にトーンダウンしてしまうことって皆さんにも心当たりあるかもしれません。その実証データとして、「知識やコツ」の情報共有に徹した結果、「調布まちゼミ」を受講されたお客様の98%が「大満足」「満足」というアンケート結果となりました。この「調布まちゼミ」を機に、お店に足を運ぶ理由が見つかることとなり、新たなお客様が着実に増えている実感を田中さんも感じているようです。「まちつくりコンサルタント」として「調布まちゼミ」を企画されたのが、「岡崎まちゼミの会」のかたがたです。「岡崎まちゼミの会(代表:松井 洋一郎さま)」はその名の通り、愛知県岡崎市発の団体であり、岡崎市の商工会議所まちつくり担当者の呼びかけで始まりました。この「まちゼミ」という「お店」と「まち」のファンづくりの取組みが、あらゆる地域で採用され良い結果をもたらしており、現在では全国にひろまっています。

「調布まちゼミ」という新しい取組みが開催に至る一番重要な事として、田中さんは言います。

post_strong_01 こういった、取組みを地域で行い推進する上で一番大切なことは、その地域において一人の熱意ある旗ふり役がいることだと感じています。調布の商店会の方で「まちゼミ」の取組みに惚れ込み、「まちつくりコンサルタント」の方と共に、私たちにこの「まちゼミ」を紹介してまわっていただけたことが大きく活性化につながった要因だと感じます。
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この「調布まちゼミ」という好機に田中さんは、もとよりパソコンに頼らず手書きのとても味のある「書」を贈答用にお祝いメッセージとして商品に添えており、この「味わいのある字」の書き方のコツを「調布まちゼミ」参加者の皆さんに伝えました。これを機に、新たなつながりが生まれ、新しいお得意様となっているようです。田中さんの「書」は、旧甲州街道沿いに新しく設置されたLED街路灯に印字されている「上布田商栄会」というロゴにも採用されています。このLEDの街路灯は、日本初のLEDで色が変わる街路灯であり、「調布」の地名の由来にもなる「布」をイメージした模様が光とともに浮かび上がります。この光の演出においても調布市在住の照明デザイナーの方がてがけられたようです。この方は、表参道キャンドルナイト実行委員長でもあります。商店街のイメージづくりにかかせない街路灯においても、地域に根付いた取組みとなるようつながりのあるカタチとなったことも、調布の街と人とのつながりを大切に想う気持ちが伝わってきます。

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調布商店街の街路灯に書かれている「上布田商栄会」の“上布田”は田中さんが書いた文字が採用されています

現在、「うつわ和季」さんでは、和柄や日本絵を活かした、シャドウボックス(印刷された柄やイラストを切り抜き何層にも張り付け、立体的に見せるアート)の「シャドーボックス教室」も開催されており、お客様との交流の場づくりを行っております。このことからも、柔軟な発想を常にもち、お客様との交流を店長自ら楽しむ姿勢を感じます。

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シャドーボックス教室「K'sアート アトリエ・エソーレ」チーフインストラクターの田中玲子さんの作品

常に、街と人とが生活の中で自然とつながってゆける空間、それが今も昔もこれからもかわらない「街の商店街」のカタチであります。

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手頃な物から、高級ブランド陶器まで幅広いラインアップ


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かわいい和雑貨がお客様をお出迎え


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多種多様、豪華ラインアップのお箸達


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「調布てぬぐい」と同じ柄の子ども甚平や、アロハシャツも販売

post_strong_01 時代の流れによって、提供する商品やサービス(専門性)は変わってゆくことは必然に感じます。陶器販売店(今は陶器だけでなく和雑貨販売も行っています)としては、私で2代目ですが、さらに先代はここ調布で「ランプ」を販売していたようです。やはり、時代の変遷とともに、陶器販売店となり、そして現在では和雑貨販売も始めたように商店街において、商いの内容は変わることと感じます。ただ唯一商店街で変わらないことは、「商店会」の取組みを通じ、人と人との交流の場づくりを行ってゆくこと。
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と田中さんは言います。また、このように熱意をもっておっしゃっています。

post_strong_01 「商店会」に新しい企業の方々も是非加入していただきたいです。最近では、商店街に出店されたフランチャイズ店舗の方が、自ら進んで「商店会」に入会していただけた嬉しい事も新たに起こっています。また、企業や団体の方との接点もできるだけ多く持ち、「まちゼミ」のようなお互いに無理なく推進できる「街つくり」の好例を推進してゆきたいです。
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夕方近くなると、街路灯が鮮やかに優しく色を変えて商店街とお客様を照らします。そこには、商いを行う上で柔軟に色を変えて時代とともに歩む商店街の姿と、今も昔もこれからも変わらない「地域と人とのつながり」を大切にする、調布の街ならではの「おもてなし」の心が感じられます。

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LEDが鮮やかに灯る、上布田商栄会の街路灯

調布商店街は、田中さんの味のある文字のように人のあたたかみが伝わってくる商店街です。調布商店街を散策しながら、元気になれる街。これもまた、調布の大切な風物詩のように感じます。

うつわ和季
和雑貨・陶器の店「うつわ和季」からのお知らせ

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