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子育てをがんばるお母さんとお子様が、ホッとできる、家族みたいな場所を。「おもちゃカフェdattochi」
東京のベッドタウン、学園都市として栄えている八王子市。そのJR八王子駅そばに、お子様連れでも安心して楽しめるキッズカフェ「おもちゃカフェdattochi」があります。こちらは2013年の9月にオープンして以来、近所のお母さまたちが集うコミュニティスペースとなっています。

オープンして約1年を迎えるということですが、試行錯誤されながら、お店を作りあげたといいます。「おもちゃカフェdattochi」はどのようにして産声をあげたのでしょうか。今回は、オーナーで2児の母でもあり、八王子の老舗呉服屋「きものの西室」の若女将でもある、西室真希さんにお話を伺いました。

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店内に入ると、かわいらしい装飾と色とりどりの遊具が目に入ります。

西室さんは数年前に八王子にある老舗の呉服屋に嫁ぎ、子育てをしていくにあたって、商店街をはじめとする周りの方々に支えられたということです。子どもの面倒を見ながら店に立つ西室さんに、“いま面倒みててあげるからね”といったようにやさしく声をかけてくれる人の存在は大きく、第三者の目があることのありがたさを実感したといいます。

post_strong_01 近年は、核家族の方が増えていて、おじいちゃんおばあちゃんと同居していない家庭も多いかと思うんですね。それに小さなお子さまがいるお母さんって、どうしても子ども中心の生活になってしまうから、社会から離れてしまったような気持ちになりがちなんです。そんなお母さんたちを支援できる場所ができたらいいなと考えました。
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そういった経験から、街ぐるみでお母さんを支えてあげられるカフェの構想に至ったということです。また、お子様連れでレストランなどに行くと、お子様が泣いてしまったりしてお母さんが肩身の狭い思いをすることがよくあるかと思いますが、そういったお母さんたちにも遠慮しないで少しでもホッとしてもらうような空間をつくりたい、と思ったそうです。

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しかし、キッズカフェを作ろうと思いたったものの、西室さんは起業の経験などはなく、実際にカフェを作るとなると一人ではとても難しいと思ったといいます。そこで周りの人に「こんなこと、やってみたいんだよね」と話していたところ、とある方に東京造形大学の春日教授(造形教育学)を紹介していただいたそうで、学生を前にプレゼンをし、西室さんの熱い想いに賛同した学生たち15人と春日教授により“キッズカフェデザインプロジェクト”を始動させました。

プロジェクトの学生たちは要望に合わせて店内装飾、遊具などの総合的なデザイン提案から、実際に壁面にペンキで絵を描くような作業まで、協力していただいたとのことです。キッズスペースの中央にある「ひかりのなる木」も、店内の家具や細かい部分まで、メンバーの手によってトータルデザインされたもので、家具は地元の職人の方が製作しました。また、利用されるお母さんたちの意見も取り入れながら作っていったといいます。多くの人の手によってホッとする、あたたかみのある空間が生まれたのですね。

そしてこの取り組みが評価を受け、今年7月にはキッズカフェデザインプロジェクトが“第8回キッズデザイン賞”を受賞しました。キッズデザイン賞は、子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン、創造性と未来を拓くデザイン、そして、子どもたちを産み育てやすいデザインを顕彰する制度です。数百点の応募の中からみごと選ばれたのです。

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キッズスペースでは、子どもたちを遊ばせながらお母さんたちにくつろいでもらうというだけでなく、さまざまなコミュニティの輪が広がる取り組みもされています。定期的に店内でワークショップも開催していて、好評だそうです。さらに、参加するだけでなく、お母さんたちが講師をつとめるものも多数あります。

post_strong_01 たとえば、入口のスペースには、お母さんたちが作った洋服、アクセサリーなど、オリジナル商品を並べています。お母さんは自分の趣味に当てる時間が取れなくなりがちなので、このカフェで少しでも輝ける時間をつくってあげたいです。それに、作品をみてもらう機会があると、自信にもつながります。
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ワークショップは、なかなか一人では挑戦するのに勇気がいるものだったり、興味はあってもお子様にやらせる機会がなかったりするものをセレクトしているといいます。“わらべうたマッサージ”、“こどものはり灸”など、さまざまな内容で開催されています。なかには、お父さんも参加する“夫婦のかかわりあい”を勉強するといったものもあるそうです。お子さまを寝かせながら写真撮影会をする“ころりんこアート”はすぐ予約でいっぱいになるため、日程を追加するほど好評だといいます。

post_strong_01 自分は何の先生でもないので、dattochiとしては自分の考え方を押し付けるようにはしたくないと思っています。 ただ、お母さんたちはお子さま中心の暮らしをしているとどうしても思考や世界が狭くなりがちなので、 “選択の幅”を増やしてあげたいんです。
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西室さんと店内2

また、西室さんが呉服屋に嫁ぎ、着物のことを勉強していくなかで、日本文化の良さを知っていった経験から お母さんやお子様に日本文化を伝えていきたいと思ったそうです。

post_strong_01 わたしが着物を着ていると、子どもたちが珍しがって「結婚するの?」と聞いてくるんですよ。日常生活で着物に触れる機会もなかなか少ないですよね。日本文化を伝えられるようなワークショップも積極的に開催していきたいです。
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たくさんの人とのつながりから生まれた「おもちゃカフェdattochi」。地域のお母さんが輝ける場所をつくるために、お子さまのために、今後もさまざまな活動にエネルギッシュに取り組んでいくことでしょう。

おもちゃカフェdattochi(ダットッチ)

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