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築120年の伝統的な“蔵”で、芸術作品と紅茶を楽しめる「ギャラリー・カフェ大屋」
かつては甲州街道沿いの宿場町として栄えた東京都日野市は、新選組の土方歳三の出身地として知られ、また伝統的な町並みが残されている、歴史を感じる土地柄です。

JR日野駅から徒歩1分に位置する「ギャラリー・カフェ大屋」は、築120年の蔵を改装してできた店舗で、都会の喧騒を忘れさせてくれる、アットホームな空間です。 今回は、オーナーの木村邦生さんにお話を伺いました。

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壁に囲まれた部屋に作品が並べられる一般的なギャラリーとは異なり、
こちらは自然光が差し込むような設計であることが特徴的です。

“蔵”と聞くと、何かを保管しておく暗い倉庫というイメージを持つかもしれません。しかしこちらは通りに面した明るい雰囲気で、見世蔵(店蔵)とよばれる店舗として使われていた蔵です。ガラス張りでオープンな作りの入口からは、蔵造りは古いというよりも、かえって新鮮な印象を受けます。蔵を改装した際の端材(梁など)を再利用して作られたカウンター席や、昔から使われてきた足踏みミシンを再利用したテーブルも、心が落ち着きます。

店主の木村さんご夫妻は、そろって日野のご出身で、代々受け継いできたこの蔵を活かして2009年に「ギャラリー・カフェ大屋」をオープンさせました。「大屋」は江戸時代に萬屋であった頃の屋号で、店舗の目の前の旧甲州街道沿いの角に位置していたことから、当時は「角大屋」と呼ばれていたと言います。

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なぜ、この蔵を活かして、レンタルギャラリー兼カフェの店舗を運営しようと考えたのでしょうか。 それは、長年この蔵を貸していたお米屋さんが2008年に閉店することになってしまい、蔵を何かしら活用していこうと考えたときに、日野市には何か作品を発表できるようなギャラリーが少ないということを偶然知る機会があったからだと言います。

post_strong_01 たとえば、カルチャーセンターで活動されている方の作品展示など、この地域には発表する場がありませんでした。いかにも“ギャラリー”という敷居の高い感じではなく、地元の人が気軽に入れるような店にしたいと思ったんです。
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さらに、奥さんが紅茶に興味を持っていたため、カフェを併設しようという流れになったそうです。実に2年間もの月日をかけて勉強し、“紅茶コーディネーター”の資格を取得されています。定番のアッサム、セイロンをはじめとした、本格的な紅茶を300円から提供しているほか、本場の英国風スコーンもお手頃価格で味わうことができます。

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ギャラリースペースは、基本的に週替りで火~日曜日の6日間ずつの展示となっていて、さまざまな芸術作品が並びます。個人で活動されている作家さんや、プロ、アマチュア、グループであったりと、利用されている方々も作品も多種多様とのこと。構造上、変色などのおそれがあるため写真を飾ることは難しいそうです。近隣の市のギャラリースペースよりも控えめな価格設定であることもあり、口コミが口コミを呼び、来年の予約にこられる方もいるほどの人気ぶりです。

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この日は「涼・ガラスを愛でる」展が開催されていました。

とくに宣伝は行っていないとのことですが、ふらっと寄ってみようといったお客さまが途絶えなく訪れます。いつ立ち寄っても、展示されているものが違うと、まるで新しい店に来たかのような感覚も味わえて面白いですね。初めて来る方も、リピーターも、何度も足を運んでみたくなります。

post_strong_01 この店をやってよかったと思うことは、最近、80代の方が、定年退職後から油絵をはじめてから約20年あまり描きためてきた60点ほどの作品を展示したことがありまして、その方の奥さんがとても喜ばれていたのを見て、うれしくなりました。
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地域のコミュニティスペースとしても大活躍です。木村さんの地元の仲間が集まると、自然と「日野弁」が出てきて、楽しく語らい合うんだとか。たとえば「おかっこま」は「正座する」、「おっぺす」は「押す」など、日野をはじめ東京都多摩地域周辺で使われている方言が存在するそうです。

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代々受け継がれてきた蔵を守りながら、地域の人々の役に立てる、すてきな取り組みですね。ふだんの生活ではめったに入ることのない蔵造りの建物で、日野の歴史と芸術と紅茶を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ギャラリー・カフェ大屋

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