Takeshi Yamazaki
monofarm編集室
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未来のものづくりと地域の活性化をどのように行いプロモーションをしていくかを模索し日々奔走しています。

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都市型市民発電所で
多摩の未来をつくる「多摩電力合同会社」
みなさんも経験している、2011年3月11日の東日本大震災。東北から関東地方にかけて甚大な被害をもたらしました。地震はもちろん津波によっても大きな被害となり、東京電力福島第一原子力発電所は地震の被害により稼働が出来なくなりました。東京電力の管轄する関東地方は地震によって火力発電所などにも被害が出たこともあり、深刻な電力不足に陥り計画停電を実施しました。この3.11の東日本大震災がきかっけで何かをしないと、という多くの場所で様々なボランティアの活動を通じた動きがありました。
東京都多摩市にある『多摩電力合同会社』(以下『たまでん』)も、この3.11がきっかけで出来ました。『たまでん』の副代表の山川勇一郎さん(以下山川さん)にお話しを伺いました。山川さんは生まれが地元多摩市で、長年プロの自然ガイドをされていたというキャリアの持ち主です。


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多摩電力合同会社 副代表 山川勇一郎さん



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3.11でみなさんがエネルギーをはじめて意識して、そして現状をはじめて知ったと思います。原発に頼らないエネルギーを自分たちでもつくっていかなくてはいけない、自分たちでもなんとかしなくてはいけないと、みなさんが考えたきっかけになったと思います。
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と、山川さんは話します。
そして多摩市でも市内の有志の方たちが「何かをしなくちゃいけない」という強いおもいで行動を開始したと聞いているそうです。
この動きが、3.11から2か月足らずの2011年5月に『エネルギーシフトをすすめる多摩の会』(エネシフ多摩)というものを20名あまりのみなさんで発足し、会の名前になっているエネルギーシフトや脱原発などを街頭などで呼びかけたそうです。
その後エネシフ多摩の活動が沈静化してしまったあとに、エネシフ多摩のメンバー少数でこれではいけないと市民が地域のエネルギー循環に直接関わることを目指し、2012年5月に『多摩市循環型エネルギー協議会(のちに多摩循環型エネルギー協会に改称)』を立ち上げたそうです。その際、いくつかの再生可能エネルギーに関するコンセプトを考えたということです。


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多摩地区はたくさん土地が余っているわけではありません。団地だとかの集合住宅の屋根や屋上があいている、と簡単に考えました(笑)。
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この都市型の収益モデルは市民活動ではなく事業として継続していくことが大切だと言います。この活動に賛同される方々には多摩市に多くいらっしゃるということもあり、また多摩ニュータウン内に入っている多摩市以外の八王子市、稲城市、町田市にも水平展開できると考えたといいます。
その後2012年8月に環境省委託事業「平成24年度地域主導型再生可能エネルギー事業化検討業務」に採択され、同じ年の10月に『多摩電力合同会社』が事業会社として設立されました。これは、FIT制度による再生可能エネルギーの普及などが後押しになったといいます。



monofarm_tamago_kari 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)とは
2012年7月1日から再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める固定価格で一定の期間(太陽光10Kw以上で20年)電気事業者に調達を義務づける制度です。現在の制度は地域主導で再生可能エネルギー事業を事業化するのを支援するのが目的だという。



そして、2012年12月に第1号発電所として、多摩市市内にある恵泉女学園大学南野校舎の屋上のソーラーパネルの設置が発表になりました。
これは屋根を借りて行う太陽光発電事業ですが、実はFIT制度施行以前はこうした事業はなかったといいます(もちろん持ち主の方が屋根や屋上にソーラーパネルを設置して電力を売る(以下、売電)といったことは戸建ても含めてたくさんあります)。


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まずは、実績を作らないといけないということで、つながりのあった恵泉女学園大学さんにお願いしました。
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最初は市民の方から集めたお金を使おうということで、少人数私募債で資金調達をしたそうです。そして翌年3月に工事が完了し、7月には売電が開始になったといいます。


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やっぱり実際に設置をすると違いますよね、周りの目の色が変わりました。
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設置すると内外から注目され、周辺の自治体や団体の方々も多く見学に来たと言います。
そして第2号発電所から、志民(『たまでん』では出資して頂く市民をこう呼んでいます)のみなさんが『たまでん』に出資〈志金〉(『たまでん』では出資のことをこう呼んでいます)して頂いて市民発電所としての稼働することになりました。



『たまでん』の事業の仕組み

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◆出資〈志金〉
志民のみなさんが出資〈志金〉したお金は信託会社を通じて『たまでん』に融資され、ソーラー発電事業に使われ、エネルギーの循環に大きく寄与します。
◆分配
事業収益から出資者に元本返済と配当を行い、また初年度配当の1/2は地域の社会貢献事業として寄付されることになっています。
◆たまでん債
集合住宅公共施設など、単独では導入の難しい屋根や屋上へのソーラーパネルの設置などを実現します。



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こういう取り組みを求めていたんですよ、と電話で熱く語ってくる方もいました。
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この『たまでん』の取り組みには、地元を中心に多くの方が出資〈志金〉していると言います。
この2014年3月には第2号発電所「ゆいま~る聖ヶ丘」の発電が開始になり、この後にもまだいくつもの市民発電所の計画があるそうです。


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FIT制度の原資は国民一人一人の電気料金から出ているわけで、それを地域のみなさんに還元することが大事なんです。
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と、山川さんは話してくれました。

それは屋根や屋上にソーラーパネルを設置して発電を行うということが、多摩地域での循環型エネルギーのかたちの一つであり、この仕組みの実現を『たまでん』が目指すことが地域のみなさんに対しての還元となり、志民のみなさんの関わりがこの事業をこれからも後押しをしていくに違いありません。
みなさんも地域にあったかたちで、自然エネルギーで未来をつくってみませんか?



多摩電力合同会社

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