Takeshi Yamazaki
monofarm編集室
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未来のものづくりと地域の活性化をどのように行いプロモーションをしていくかを模索し日々奔走しています。

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都市の農地をまもりたい
~NPO法人ミュゼダグリの目指したものとは?
みなさんもご存知のように、大都市郊外の農地は減少している傾向にあります。様々な要因がありますが、現実問題として今の農家の方が大都市郊外で農業を行っていくということが難しくなってきているということです。もちろん農地などが減るということは環境的にも厳しくなるということになります。
今回ご紹介するNPO法人ミュゼダグリは、大都市郊外の農地を地元・東京都小金井市で都市の農地をどうにかして守る仕組みが作れないかという取り組みをされています。NPO法人ミュゼダグリ代表理事・納所二郎さん(以下納所さん)にお話しを伺いました。
いまから十年ほど前に、農地が農地として残る仕組みがないものかと模索を始めたということでした。大都市近郊の農家の実態から一次産業である農業をサービス産業としての三次産業に一部転換して行く仕組みができないかと模索したということですが、それ自体様々な要因で当時としては実現が難しいと判断され、都市農業の支援にとりくんでいくことに方向転換して活動していくことになったそうです。
時代のながれと市の要請を受け地域資源を活用して町おこしをする取り組みに参画、小金井市の自然・人文環境をつぶさに見ていくうちに江戸から東京へと続くたてもの歴史を物語る江戸東京たてもの園と江戸から現代へ養蚕から繊維への歴史を語る繊維博物館(現在の科学博物館)があることに着目、江戸東京をキーワードに衣・食・住のうちの二つも揃っていることに気がついたそうです。


post_strong_01 そこに食を加えれば、なにかおもしろいことが出来る。小金井市全体がミュージアムになると考えました。
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そして、この食の候補として当然農家を元気にしようと江戸中の各地の伝統野菜から小金井で栽培できそうな伝統野菜を選び栽培してもらおうと考えました。
ちょうどこの頃行政の地域資源活用プロジェクト企画募集があり小金井市を通じて、三鷹市・小金井市の<水湧く(みわく)プロジェクト>に『江戸東京野菜プロジェクト』として取り上げられたそうです。


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NPO法人ミュゼダグリ代表理事 納所二郎さん



monofarm_tamago_kari 江戸東京野菜ってなに?
江戸から東京への歴史の中で、地域の住民の食生活を支えて食文化を育んできたその土地の名前が付いた野菜の総称を江戸東京野菜と呼ぶことにしました。江戸から昭和の時代までずっとタネを蒔いては芽をだし栽培されていた固定種の伝統野菜のことです。種は自家採種で取れ、それぞれの野菜には季節限定の旬があります。練馬大根(練馬区)・伝統野菜大蔵大根(世田谷区)・亀戸大根(江戸川区)・馬込三寸ニンジン(大田区)・伝統小松菜(江戸川区)・東京ウド(北多摩一帯)などがあります。その特徴は揃いがわるく、大きさも揃って成長しないため、収穫に手間がかかり栽培が難しいのです。食べてみると柔らかく野菜本来の味がして、それぞれの野菜の個性がありとても美味しいものです。小松菜とありますが現在の小松菜は中国野菜との掛け合わせで葉の形も違い、かたくおひたしには向かない別のものなので伝統小松菜と名付けています。同様に大蔵大根も伝統野菜の方では伝統大蔵大根とよんでいます。2011年にはJA東京中央会が「江戸東京野菜」を商標登録しており、いまでは、34種類が登録されています。



2006年には小金井市で「江戸東京野菜でまちおこし」として事業がはじまり、2007年1月21日には「江戸東京たてもの園」で<江戸雑煮を食べよう>というイベントを開催したところ


post_strong_01 500名の募集のところ、1000名以上の応募がありました。
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江戸東京野菜への関心があり食べてみたいと思う人数の多さにびっくりです。小金井のみなさんに小金井の農家が作った江戸東京野菜を食べてもらい、飲食店を始めとして町の活性化ができないかということからレストランプロジェクトも始まったそうです。
「江戸雑煮を食べよう」のイベントに続き2007年秋には「江戸東京たてもの園・住と食文化フェア~江戸東京野菜を味わう」というフェアを江戸東京たてもの園で開催、JA東京むさしを通じて4軒の農家が復活栽培に協力してくださり、市内14軒の飲食店の創作料理にフェア会場のお客さんが舌鼓を打ったとお聞きしました。2008年には小金井桜として江戸時代から有名だった桜の時期にと「春うららのお花見弁当フェア」が開催されたそうです。こうして春と秋の時期に毎年江戸東京野菜フェアが続いているというわけです。
江戸東京たてもの園でのフェアはこの年までで2009年からは町なかフェアと称して店舗で店独自の創作料理を提供してもらうという企画に変遷、各店にのぼりをたてたりして町なかを食べ歩きできるように、味わい散歩ツアーを実施したりされたそうです。


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また江戸東京たてもの園にある江戸東京野菜を栽培している「かわいい畑」は2006年に江戸東京たてもの園の学芸員、市役所経済課職員、NPOのメンバーらによって江戸野菜のショールームとして掘り起こされた「小さな畑」としてうまれ、キャンペーンと共にずっとこの地で伝統野菜作りをしていました。
今年もこの「かわいい畑」では、伝統小松菜・シントリ菜・寺島ナス・三河島菜の栽培をしていく予定だといいます。
この江戸東京野菜の普及が進めば、現在栽培している農家のインセンティブになり都市の農地をまもる一因にもなるといいます。


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そして小金井市に留まらず江戸東京野菜の普及をめざし、2011年に江戸東京野菜の普及のための人材育成を行っていこうということで、『江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座』をはじめました。「東京都新しい公共支援事業」の助成を受けて運営、行政である小金井市とJA東京むさし、農家、地域の学生の団体「いがねこ」、江戸東京・伝統野菜研究会の5団体で協議会をつくり江戸東京野菜コンシェルジュの育成講座をはじめました。
昨年からは助成金も終了したので自力で講座を開講されていて、<江戸東京野菜コンシェルジュ>という商標登録を申請しマーク付き認証を取得したということです。 今年度『江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座』では、7月5日、9月7日に入門講座をご用意しています。通常の入門講座のほかにもっと詳しく知りたいという方には『江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座』総合コースという資格講座を11月に予定をしています。終了後資格検定があり、合格者は江戸東京野菜コンシェルジュ認定証をもらえるそうです。
また、このほかにも<伝統野菜は長老に聞け>ということで今年の3月29日は元東京都農業試験場参事研究員の澤地信康氏を招いて講演を開催し、5月31日には練馬大根栽培の第一人者である渡戸 章氏を招いて講演を行ったということで、貴重なお話しが伺えるそうです。


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(左)3月29日<伝統野菜は長老に聞け>の講演の様子
(右)4月12日の大竹会長の入門講座の様子


post_strong_01 江戸東京野菜は命をつないできた伝統野菜であり、正しい野菜知識と美味しい食べ方を身につけさらにひろめてほしい。
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そういったことを江戸東京野菜コンシェルジュの講座を受けたみなさんには期待していると納所さんは話します。
今後、江戸東京野菜の普及やミュゼダグリとして何をやっていきたいですかとの質問に


post_strong_01 江戸東京野菜を栽培する農家が増え、東京の農業を支える一助になればと思います。大都市近郊の農地は特色ある野菜の栽培がもとめられており、こうした努力で農地も守られていけばと思っています。みなさんも野菜本来の味がする江戸東京野菜を召し上がってほしいです。
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江戸東京野菜コンシェルジュが増えれば、多くの人に江戸東京野菜が広がる。そして江戸東京野菜のことが広がれば江戸東京野菜の消費が増える。その結果、江戸東京野菜を栽培する農家が増えれば大都市郊外の農地も守られていく。
さぁ、みなさんで江戸東京野菜を食べてみませんか?



◆お知らせ◆
江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座:入門編
第5回 日時:2014年7月 5日(土)13:00~16:30
第6回 日時:2014年9月 6日(土)13:00~16:30
詳しくはこちらをご覧ください
江戸コン便り



NPO法人ミュゼダグリ

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